契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない

インターホンを押すと、省吾が応対した。

「ミク」

ドアが開くと省吾は部屋着姿で立っていた。

省吾はミクの腕を引き寄せ抱きしめた。

「ミク、帰ってきてくれたんだろう」

「省吾さん、先生からお電話頂いて、具合が悪いなら入院して、検査を受けてください」

「矢部先生がミクに電話をしたのか」

「なんで、入院しないんですか」

省吾はミクの頬を両手で掴み、キスをしようと試みた。
ミクは咄嗟に顔を背けた。

「俺、嫌われたのか」

「違います、私が省吾さんを裏切ったから、省吾さんの優しさに甘えられる女ではないんです」

「海城に身体を許したとか?」

ミクは驚きの表情を見せた。

「図星か」

省吾はミクの首筋のキスマークを確認した。

「ミクは海城が好きなのか」

ミクは言葉に詰まった。

「俺はミクと別れるつもりはない」

ミクは省吾の言葉に驚きの表情を見せた。

「ミクの心の中に俺がいなくても、海城に抱かれたとしても、俺はミクを手放すつもりはないから」

「省吾さん」

< 69 / 76 >

この作品をシェア

pagetop