契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない

そこへ矢部先生もやってきた。

「入院する前の状態を知りたいので、奥様よろしいでしょうか」

すると、由美子さんが言葉を発した。

「先生、それなら私がずっと看病していたので、私がお話します」

すると矢部先生は「奥様でないとお話出来ないこともありますので、
奥様お願いします」そう言って、ミクに一緒にくるように促した。

由美子さんは頬を膨らませて、病室を出た。

私は省吾さんの妻と言う立場がどれほど重要か、再認識した。

ミクは矢部先生の部屋に招かれて話をすることになった。

「精神的な要因が大きいです、省吾さんは社長と言う立場と、奥様のことで
だいぶダメージを負っています、お母様がお兄様を溺愛されている環境の中で、
小さい頃より体調を崩すことが多く、自分は誰からも愛されないと思い込み、
特に奥様の存在は大きかったようで、今回のような症状が現れたと思われます」

「あの、省吾さんと私は契約結婚なんです、だから、私の存在など無に等しいと思います」