幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
「初めまして。桐生ホールディングス、CSR推進部部長の桐生 瑛と申します」
「同じくCSR推進部企画課芸術部門担当の栗田 朱里と申します」
二人はオーケストラの事務局長と名刺交換をする。
「あ、これはこれは。ご丁寧にありがとうございます。お二人ともこんなにお若い方だったんですね」
それを言われると返す言葉に詰まる。
(生意気な若造が、とか思われちゃうのかな。いやいや、気にしても仕方ない)
朱里は改めて、今回の話に至った経緯を資料を渡しながら説明する。
「なるほど、CSR事業の一環ですね。当楽団としましても、小学校などに出向いて演奏したいと常々思っておりました。子ども達に良い音楽を届けたいというのは、全楽団員の願いですから。ただやはり、資金繰りが厳しくなかなか実現しておりません。桐生ホールディングス様がそのような活動で私どもにお声をかけていただけるのは大変光栄で有り難いです」
「それでは、今後とも末永くパートナーとしてご協力いただけますでしょうか?」
「もちろんです。こちらこそ、どうぞ末永くよろしくお願いいたします」
朱里はホッと胸を撫で下ろし、詳しい話は改めて社長を交えてさせてくださいと伝えた。
「本日はひとまずご挨拶と、それから未来ハーモニーホールでの演奏会についてお話出来ればと」
「承知しました。あ、ちょうど今リハーサル室で常任指揮者がタクトを振っておりますので、よろしければ見学なさいますか?」
「えっ!!よろしいのでしょうか?」
朱里のテンションが一気に上がる。
「もちろんです。ではご案内致します」
事務局長に案内されながら、朱里はソワソワと落ち着かなくなる。
「あ、あの、常任指揮者ということは、東条要さんでしょうか?」
「ええ、さようでございます」
(うひゃー!あの世界的に有名な、若きイケメンマエストロ!ど、どうしよう、なんてご挨拶すればいいのかしら…。あー、とにかくじっくり拝んでおこう!)
やがて『リハーサル室』とプレートが掲げてある部屋の前に着く。
「こちらです。どうぞ」
「はい、失礼いたします」
防音の二重扉を開けると、オーケストラの演奏が耳に飛び込んできた。
(ひゃー!凄い)
朱里は、初めて見るプロのオーケストラのリハーサルに圧倒される。
「そこ!もっとフレーズつなげてたっぷり。テンポ落とさない!前へ!」
大きな声で指示を出す指揮者と、即座に反応して応える演奏者。
一瞬たりとも気が抜けない雰囲気に、朱里はゴクリと唾を飲み込む。
「ここからもっと色を変えて。管はしっかり前に出る!」
自分に言われている訳でもないのに、朱里は身体に力が入りっぱなしだった。
「マエストロ、そろそろお時間です」
「あー、もうそんな時間か。分かった」
事務局長に声をかけられ、名残惜しそうに指揮者が台を降りた。
「同じくCSR推進部企画課芸術部門担当の栗田 朱里と申します」
二人はオーケストラの事務局長と名刺交換をする。
「あ、これはこれは。ご丁寧にありがとうございます。お二人ともこんなにお若い方だったんですね」
それを言われると返す言葉に詰まる。
(生意気な若造が、とか思われちゃうのかな。いやいや、気にしても仕方ない)
朱里は改めて、今回の話に至った経緯を資料を渡しながら説明する。
「なるほど、CSR事業の一環ですね。当楽団としましても、小学校などに出向いて演奏したいと常々思っておりました。子ども達に良い音楽を届けたいというのは、全楽団員の願いですから。ただやはり、資金繰りが厳しくなかなか実現しておりません。桐生ホールディングス様がそのような活動で私どもにお声をかけていただけるのは大変光栄で有り難いです」
「それでは、今後とも末永くパートナーとしてご協力いただけますでしょうか?」
「もちろんです。こちらこそ、どうぞ末永くよろしくお願いいたします」
朱里はホッと胸を撫で下ろし、詳しい話は改めて社長を交えてさせてくださいと伝えた。
「本日はひとまずご挨拶と、それから未来ハーモニーホールでの演奏会についてお話出来ればと」
「承知しました。あ、ちょうど今リハーサル室で常任指揮者がタクトを振っておりますので、よろしければ見学なさいますか?」
「えっ!!よろしいのでしょうか?」
朱里のテンションが一気に上がる。
「もちろんです。ではご案内致します」
事務局長に案内されながら、朱里はソワソワと落ち着かなくなる。
「あ、あの、常任指揮者ということは、東条要さんでしょうか?」
「ええ、さようでございます」
(うひゃー!あの世界的に有名な、若きイケメンマエストロ!ど、どうしよう、なんてご挨拶すればいいのかしら…。あー、とにかくじっくり拝んでおこう!)
やがて『リハーサル室』とプレートが掲げてある部屋の前に着く。
「こちらです。どうぞ」
「はい、失礼いたします」
防音の二重扉を開けると、オーケストラの演奏が耳に飛び込んできた。
(ひゃー!凄い)
朱里は、初めて見るプロのオーケストラのリハーサルに圧倒される。
「そこ!もっとフレーズつなげてたっぷり。テンポ落とさない!前へ!」
大きな声で指示を出す指揮者と、即座に反応して応える演奏者。
一瞬たりとも気が抜けない雰囲気に、朱里はゴクリと唾を飲み込む。
「ここからもっと色を変えて。管はしっかり前に出る!」
自分に言われている訳でもないのに、朱里は身体に力が入りっぱなしだった。
「マエストロ、そろそろお時間です」
「あー、もうそんな時間か。分かった」
事務局長に声をかけられ、名残惜しそうに指揮者が台を降りた。