幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第三章 お風呂と添い寝?
「ハッピーバースデー!!」
皆でクラッカーを鳴らすと、頭にパーティーハットを被った優は驚いたように目を真ん丸にした。
だが一斉に拍手が起こると、嬉しそうに自分もぱちぱちと手を叩く。
今夜は優の誕生日会。
実際の誕生日は先週だったそうだが、雅が実家でも祝いたいからとこの日にパーティーを計画し、朱里も招いてくれた。
「優くん。はい、朱里お姉ちゃんからのプレゼントだよー」
そう言って朱里が、ふわふわとした手触りのぞうのぬいぐるみを渡す。
優は早速手を伸ばし、ぞうの長い鼻をむぎゅっと掴んで笑っている。
「気に入ってくれたかな?良かった!」
朱里がホッとしていると、雅がケーキを切り分けながらお礼を言う。
「ありがとね、朱里ちゃん。プレゼントまで用意してくれて」
「いいえ。私が優くんにあげたくて、勝手に買って来ちゃっただけなの」
「嬉しいわ!良かったわねー、優」
ママに顔を寄せられ、優は「あー!」とにこにこする。
「朱里ちゃん、本当にありがとう。ほら、お料理もどんどん召し上がれ」
瑛の母に言われて、朱里ははいと頷く。
目の前に所狭しと並べられた料理は、まるでホテルのパーティーメニューのように豪華だ。
どれもこれも、桐生家の料理人達が腕によりをかけて作ったものらしい。
早速鴨肉のローストを頬張っていると、瑛の父がふと朱里に声をかける。
「朱里ちゃん。菊川に聞いたよ、泥棒のこと。怖い思いをさせて本当に申し訳なかったね」
「いえ、私はなんともありませんでしたから」
「無事でいてくれて何よりだ。君に危害が及ぶようなことがあってはならない。でもご迷惑をかけたね。今度ご両親にも謝罪しておくよ」
「おじ様、そこまでして頂かなくても大丈夫ですから。それに両親には、この件は話していないんです」
「そうなのかい?それはやはり、心配をかけたくないから?」
「え?まあ、そうですね」
すると瑛の父は、うーん、と腕組みをする。
「朱里ちゃん。実は来週からしばらく、今度はイタリアに夫婦で出張に行くことになっているんだ」
「そうなんですか?アメリカから帰って来たばかりでお忙しいですね。どうぞお身体お気をつけてくださいね」
「ありがとう。我々のことはいいんだけど、やはり朱里ちゃんのことが心配だ。どうだろう、朱里ちゃん。その間うちに泊まってくれないか?」
思わぬ言葉に、朱里はえっ!と真顔で驚く。
「私がこちらに泊まるんですか?」
「ああ。菊川も泊まらせて君の安全を守る。君が自宅にいるよりは守りやすい。それに警備員も多く雇って24時間屋敷を監視させる。だから君もここにいてくれないだろうか?」
「え、でも…。お世話になるなんて、ご迷惑では?」
朱里が迷っていると、瑛の母も身を乗り出してくる。
「朱里ちゃん、私達の為にもそうしてくれない?でないと私、心配で。あなたの身に何か起きてからでは遅いもの」
「ああ、そうだな。それに前回のアメリカと同じく、イタリアでもリゾートホテル開発に関する記者会見を行う予定なんだ。我が家が手薄だと公表するのと同じことだ。前の泥棒を真似て、他にもここに忍び込もうとするやつがいるかもしれない」
それを聞いて朱里が提案する。
「それなら、瑛も菊川さんも、ここから離れて別荘で過ごした方が安全なのではないですか?」
「だがそうすると、それこそ泥棒の思う壺だ。もぬけの殻の屋敷を、片っ端から荒らされてしまう。そして隣の君の家に逃げ込むかもしれないだろう?その時に菊川もいないのでは、想像するだけでも恐ろしい」
確かに、と朱里も頷く。
「分かりました。ではお言葉に甘えて、おじ様達がご不在中はこちらでお世話になってもよろしいでしょうか?」
「もちろんだよ、ありがとう!」
瑛の両親は揃ってホッとしたように笑顔になる。
「菊川、そういう訳だ。しっかり朱里ちゃんをお守りしなさい」
「はい、かしこまりました。必ず」
部屋の片隅で話を聞いていた菊川が、キリッとした顔で大きく頷く。
「瑛、お前もだぞ」
父に話を振られ、絨毯の上で優と遊んでいた瑛が、はーいと間延びした返事をする。
「瑛!あなた本当に分かってるの?菊川にばかり任せてないで、今度こそ男らしく朱里ちゃんを守るのよ?」
雅に釘を刺された瑛が、ふと顔を上げて朱里を見る。
「まあ、か弱い女の子なら守るけどな」
「ど、どういう意味よ?」
思わず朱里が聞き返す。
「いや別に。朱里には必殺平手打ちっていう技があるしな。俺が守るまでもないって思っただけだ」
「なによそれ?!いいもん、瑛には期待してないから。菊川さんがいてくれるもん!」
そう言ってお互い、ふん!とそっぽを向く。
「あらあら、お兄ちゃんもお姉ちゃんもケンカばっかりですねー。仲良くしなきゃ、ね?優」
雅が困ったように優に笑いかけた。
皆でクラッカーを鳴らすと、頭にパーティーハットを被った優は驚いたように目を真ん丸にした。
だが一斉に拍手が起こると、嬉しそうに自分もぱちぱちと手を叩く。
今夜は優の誕生日会。
実際の誕生日は先週だったそうだが、雅が実家でも祝いたいからとこの日にパーティーを計画し、朱里も招いてくれた。
「優くん。はい、朱里お姉ちゃんからのプレゼントだよー」
そう言って朱里が、ふわふわとした手触りのぞうのぬいぐるみを渡す。
優は早速手を伸ばし、ぞうの長い鼻をむぎゅっと掴んで笑っている。
「気に入ってくれたかな?良かった!」
朱里がホッとしていると、雅がケーキを切り分けながらお礼を言う。
「ありがとね、朱里ちゃん。プレゼントまで用意してくれて」
「いいえ。私が優くんにあげたくて、勝手に買って来ちゃっただけなの」
「嬉しいわ!良かったわねー、優」
ママに顔を寄せられ、優は「あー!」とにこにこする。
「朱里ちゃん、本当にありがとう。ほら、お料理もどんどん召し上がれ」
瑛の母に言われて、朱里ははいと頷く。
目の前に所狭しと並べられた料理は、まるでホテルのパーティーメニューのように豪華だ。
どれもこれも、桐生家の料理人達が腕によりをかけて作ったものらしい。
早速鴨肉のローストを頬張っていると、瑛の父がふと朱里に声をかける。
「朱里ちゃん。菊川に聞いたよ、泥棒のこと。怖い思いをさせて本当に申し訳なかったね」
「いえ、私はなんともありませんでしたから」
「無事でいてくれて何よりだ。君に危害が及ぶようなことがあってはならない。でもご迷惑をかけたね。今度ご両親にも謝罪しておくよ」
「おじ様、そこまでして頂かなくても大丈夫ですから。それに両親には、この件は話していないんです」
「そうなのかい?それはやはり、心配をかけたくないから?」
「え?まあ、そうですね」
すると瑛の父は、うーん、と腕組みをする。
「朱里ちゃん。実は来週からしばらく、今度はイタリアに夫婦で出張に行くことになっているんだ」
「そうなんですか?アメリカから帰って来たばかりでお忙しいですね。どうぞお身体お気をつけてくださいね」
「ありがとう。我々のことはいいんだけど、やはり朱里ちゃんのことが心配だ。どうだろう、朱里ちゃん。その間うちに泊まってくれないか?」
思わぬ言葉に、朱里はえっ!と真顔で驚く。
「私がこちらに泊まるんですか?」
「ああ。菊川も泊まらせて君の安全を守る。君が自宅にいるよりは守りやすい。それに警備員も多く雇って24時間屋敷を監視させる。だから君もここにいてくれないだろうか?」
「え、でも…。お世話になるなんて、ご迷惑では?」
朱里が迷っていると、瑛の母も身を乗り出してくる。
「朱里ちゃん、私達の為にもそうしてくれない?でないと私、心配で。あなたの身に何か起きてからでは遅いもの」
「ああ、そうだな。それに前回のアメリカと同じく、イタリアでもリゾートホテル開発に関する記者会見を行う予定なんだ。我が家が手薄だと公表するのと同じことだ。前の泥棒を真似て、他にもここに忍び込もうとするやつがいるかもしれない」
それを聞いて朱里が提案する。
「それなら、瑛も菊川さんも、ここから離れて別荘で過ごした方が安全なのではないですか?」
「だがそうすると、それこそ泥棒の思う壺だ。もぬけの殻の屋敷を、片っ端から荒らされてしまう。そして隣の君の家に逃げ込むかもしれないだろう?その時に菊川もいないのでは、想像するだけでも恐ろしい」
確かに、と朱里も頷く。
「分かりました。ではお言葉に甘えて、おじ様達がご不在中はこちらでお世話になってもよろしいでしょうか?」
「もちろんだよ、ありがとう!」
瑛の両親は揃ってホッとしたように笑顔になる。
「菊川、そういう訳だ。しっかり朱里ちゃんをお守りしなさい」
「はい、かしこまりました。必ず」
部屋の片隅で話を聞いていた菊川が、キリッとした顔で大きく頷く。
「瑛、お前もだぞ」
父に話を振られ、絨毯の上で優と遊んでいた瑛が、はーいと間延びした返事をする。
「瑛!あなた本当に分かってるの?菊川にばかり任せてないで、今度こそ男らしく朱里ちゃんを守るのよ?」
雅に釘を刺された瑛が、ふと顔を上げて朱里を見る。
「まあ、か弱い女の子なら守るけどな」
「ど、どういう意味よ?」
思わず朱里が聞き返す。
「いや別に。朱里には必殺平手打ちっていう技があるしな。俺が守るまでもないって思っただけだ」
「なによそれ?!いいもん、瑛には期待してないから。菊川さんがいてくれるもん!」
そう言ってお互い、ふん!とそっぽを向く。
「あらあら、お兄ちゃんもお姉ちゃんもケンカばっかりですねー。仲良くしなきゃ、ね?優」
雅が困ったように優に笑いかけた。