幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 その後も、何人もの人達と名刺を交換し挨拶をする。

 瑛がようやくひと息ついた時には、用意された料理もかなり少なくなっていた。

 朱里はまだ何人もの男性に取り囲まれ、楽しげに雑談している。

 (あいつ、腹減ってるだろうな。適当に取っておこう)

 そう思ってビュッフェカウンターに向かおうとした時だった。

 「いいのかい?彼女を守らなくて」

 聞こえてきた声に、え?と振り返ると、東条がワイングラスを片手に朱里を見ていた。

 「この会場にいる男性が皆、彼女を狙っている。俺なら心配で、彼女を誰にも近寄らせまいとするけどね」

 そう言うと、瑛を見て不敵な笑みを浮かべる。

 「君が放っておくなら、俺が行かせてもらうよ」

 そしてツカツカと朱里に近づき、にっこりと笑いかけてから朱里の腰に手を回した。

 取り囲んでいた男性陣に失礼と会釈してから、東条は朱里の腰を抱いたままバルコニーに出る。

 朱里をベンチに座らせ、外の景色を見ながら楽しそうに話し始めた二人を見て、瑛はグッと唇を噛みしめた。

 為す術もなく離れた所から見守っていると、東条は近くを通りかかったボーイからワイングラスを受け取り、朱里に差し出した。

 グラスを合わせて乾杯してから口をつける。

 (あいつ、空きっ腹なのにあんなに一気に飲んで…)

 瑛は心配になるが、声をかける勇気も出ない。

 何より朱里は、東条と楽しそうに話している。
 その笑顔に瑛は胸が苦しくなった。
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