幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
次の週。
朱里は瑛や菊川と一緒に、イタリアへ出発する瑛の両親を屋敷で見送った。
「じゃあ朱里ちゃん、行ってくるわね。身の回りのことは全部スタッフがやるから、朱里ちゃんはどうぞごゆっくりね」
「はい、ありがとうございます。おば様もおじ様も、どうかお気をつけて」
「ありがとう朱里ちゃん。瑛、菊川、くれぐれも朱里ちゃんのことを頼んだぞ」
「かしこまりました。お任せください」
「はいよー、分かってるって」
菊川の返事には頷き、瑛の返事にはため息をついてから、瑛の両親は大きな黒塗りの車に乗って出発した。
「さてと!しばらくはのびのび過ごせるなー」
そう言って屋敷に入る瑛を、やれやれと朱里が見送っていると、菊川が声をかけてきた。
「朱里さん、早速お部屋にご案内しますね」
「あ、はい。ありがとうございます」
朱里が手にしていた大きなボストンバッグをさり気なくスッと持ち、菊川は朱里を2階へと案内する。
「こちらのお部屋でいかがでしょうか?バスルームもついていますし、ソファやデスクもあります」
通された部屋は、明るいベージュの壁紙に優しい色合いの家具が置かれたホテルのスイートルームのように豪華な部屋だった。
「うわー、こんな素敵なお部屋を使わせてもらってもいいの?」
「もちろんです。私はこのお部屋の隣に泊まりますので、何かあればいつでもお知らせください」
「とっても心強いです。ありがとうございます、菊川さん」
お礼を言う朱里に笑いかけてから、菊川は部屋を出ていった。
残された朱里は、部屋で一人荷物をしまっていた。
クローゼットに服を掛け、机にテキストやノートを立てて置く。
バスルームに洗面用具を並べていると、部屋のドアをノックする音に続いて瑛の声がした。
「朱里ー、俺。入るぞ」
「うん、どうぞ」
朱里はバスルームから出て返事をする。
入ってきた瑛は、部屋の様子をぐるっと見ながら話し出す。
「なんか足りないものあるか?」
「ううん、何も。こんな素敵なお部屋をどうもありがとう」
「いや、それはいいんだけど。俺、今から出かけるんだ。朱里は?」
「今日は土曜日だから大学もないし、特に外出する予定もないよ。瑛は?どこへ行くの?」
「ん、ちょっと会社にね」
瑛は大学に通う傍ら、父の会社の仕事も手伝い始めていた。
「そうなんだ。大変だね」
朱里がそう言うと、いや、と視線を落として瑛は何かを考え込む。
「いつもなら菊川と行くんだけど、今日は俺一人で行ってくるわ」
「え?どうして?」
「だって、お前を一人に出来ないから」
ええ?!と朱里は驚く。
「何言ってるの?瑛。まだ昼過ぎよ?それに家政婦さんだっているし、私一人じゃないわよ」
何より、瑛がそんなふうに自分のことを心配してくれることに朱里は驚いた。
「どうしたのよ、瑛。私のこと、必殺平手打ちで泥棒を撃退できる怪力女だと思ってるんでしょう?」
「お、お前…。さすがにそこまでハッキリと名言してないぞ、俺は」
「でも心の中ではそう思ってるでしょ?大丈夫だってば!ほら、菊川さんと一緒にお仕事行ってきな。早く!」
「あ、ああ、うん。じゃあ何かあったらすぐに電話してこいよ」
まだ何か言いたげな瑛の背中を押して、朱里はドアの横で見送る。
「はいはい。行ってらっしゃーい!」
朱里は瑛や菊川と一緒に、イタリアへ出発する瑛の両親を屋敷で見送った。
「じゃあ朱里ちゃん、行ってくるわね。身の回りのことは全部スタッフがやるから、朱里ちゃんはどうぞごゆっくりね」
「はい、ありがとうございます。おば様もおじ様も、どうかお気をつけて」
「ありがとう朱里ちゃん。瑛、菊川、くれぐれも朱里ちゃんのことを頼んだぞ」
「かしこまりました。お任せください」
「はいよー、分かってるって」
菊川の返事には頷き、瑛の返事にはため息をついてから、瑛の両親は大きな黒塗りの車に乗って出発した。
「さてと!しばらくはのびのび過ごせるなー」
そう言って屋敷に入る瑛を、やれやれと朱里が見送っていると、菊川が声をかけてきた。
「朱里さん、早速お部屋にご案内しますね」
「あ、はい。ありがとうございます」
朱里が手にしていた大きなボストンバッグをさり気なくスッと持ち、菊川は朱里を2階へと案内する。
「こちらのお部屋でいかがでしょうか?バスルームもついていますし、ソファやデスクもあります」
通された部屋は、明るいベージュの壁紙に優しい色合いの家具が置かれたホテルのスイートルームのように豪華な部屋だった。
「うわー、こんな素敵なお部屋を使わせてもらってもいいの?」
「もちろんです。私はこのお部屋の隣に泊まりますので、何かあればいつでもお知らせください」
「とっても心強いです。ありがとうございます、菊川さん」
お礼を言う朱里に笑いかけてから、菊川は部屋を出ていった。
残された朱里は、部屋で一人荷物をしまっていた。
クローゼットに服を掛け、机にテキストやノートを立てて置く。
バスルームに洗面用具を並べていると、部屋のドアをノックする音に続いて瑛の声がした。
「朱里ー、俺。入るぞ」
「うん、どうぞ」
朱里はバスルームから出て返事をする。
入ってきた瑛は、部屋の様子をぐるっと見ながら話し出す。
「なんか足りないものあるか?」
「ううん、何も。こんな素敵なお部屋をどうもありがとう」
「いや、それはいいんだけど。俺、今から出かけるんだ。朱里は?」
「今日は土曜日だから大学もないし、特に外出する予定もないよ。瑛は?どこへ行くの?」
「ん、ちょっと会社にね」
瑛は大学に通う傍ら、父の会社の仕事も手伝い始めていた。
「そうなんだ。大変だね」
朱里がそう言うと、いや、と視線を落として瑛は何かを考え込む。
「いつもなら菊川と行くんだけど、今日は俺一人で行ってくるわ」
「え?どうして?」
「だって、お前を一人に出来ないから」
ええ?!と朱里は驚く。
「何言ってるの?瑛。まだ昼過ぎよ?それに家政婦さんだっているし、私一人じゃないわよ」
何より、瑛がそんなふうに自分のことを心配してくれることに朱里は驚いた。
「どうしたのよ、瑛。私のこと、必殺平手打ちで泥棒を撃退できる怪力女だと思ってるんでしょう?」
「お、お前…。さすがにそこまでハッキリと名言してないぞ、俺は」
「でも心の中ではそう思ってるでしょ?大丈夫だってば!ほら、菊川さんと一緒にお仕事行ってきな。早く!」
「あ、ああ、うん。じゃあ何かあったらすぐに電話してこいよ」
まだ何か言いたげな瑛の背中を押して、朱里はドアの横で見送る。
「はいはい。行ってらっしゃーい!」