幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 伊丹空港に着き、軽く昼食を取ってから、瑛は東条から紹介してもらった「東森芸術文化センター管弦楽団」に電話をかける。

 午前中に東条が話をしてくれたらしく、ああ!聞いていますよと気さくに応じてもらえた。

 「実は今、伊丹空港におりまして。もしご迷惑でなければ、これからご挨拶に伺ってもよろしいでしょうか?はい、ありがとうございます」

 瑛は朱里に、人差し指と親指で丸を作ってみせる。

 「それでは14時に伺います。よろしくお願いいたします」

 通話を終えた瑛に、朱里が早速アクセスを検索した画像を見せる。

 「んー、1時間あれば着きそうだな。のんびり行こう」
 「うん。あ、手土産買わなきゃね!」
 「お、そうだった」

 二人は途中、デパートに立ち寄ってお菓子を購入してから、楽団の事務局を訪れた。

 「いやー、存じておりましたよ、桐生ホールディングスさんの活動。先日の東条さんのコンサートも、ニュースで拝見しました。良い活動だなー、いつか我々も手伝えたらと思っていたのですが、こんなに早くお声をかけていただけるとは」
 「え?それでは、引き受けていただけるでしょうか?」
 「もちろんです」
 「あの、ここからは遠い、田舎の市民会館での演奏なのですが…」
 「構いませんよ。だって、過疎地域への演奏活動でしょう?最初からそのつもりです」

 朱里は瑛と笑顔で顔を見合わせてから、頭を下げた。

 「ありがとうございます!ご協力に心より感謝いたします」

 詳しい話はまた改めて、と二人は事務局をあとにした。
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