幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第二十一章 忘れていた就職活動
 出張から帰ってきてからも、各所へのやり取りで朱里は忙しくしていた。

 ある程度資料をまとめてから、瑛と一緒に社長室へ報告に行く。

 「兵庫の件は東森芸術文化センター管弦楽団で決定しました。日程は8月1日の14時からです。あとはプログラムを詰めていくのですが、地元の吹奏楽部員の子ども達10名と一緒に演奏する曲をまずは決めたいと思います。子ども達も、早く楽譜が欲しいと言っていましたし」
 「うん、そうだね。じゃあ子ども達と楽団の皆さんとで相談して決めてもらおう」
 「はい。あと他の曲ですけど、あの地域はご年配の方も多いし緑豊かな場所ですので、そういった点も踏まえて考えたいと思います」

 兵庫の件は以上で、あとは同時進行している件を瑛が報告する。

 「新東京フィルさんの所に届いたメールも、電話でやり取りしました。東京近郊の、地域のデイセンターのような場所、あとは保育施設にも、小編成で訪問出来ればと話しています。この件は東条さんが主に進めてくださっているので、来週改めて東条さんと打ち合わせをする予定です」

 分かった、と頷いた社長は、資料から顔を上げて笑顔になる。

 「いやー、いよいよ本格始動だな。良い波が来ている気がするよ。朱里ちゃん、今夜うちで夕食一緒に食べない?まだ話し足りないこともあるし」
 「ええ、是非!私もおじ様にプログラムについて相談したくて」
 「分かった。じゃあ、なるべく早く帰るね」
 「はい!お待ちしています」

 朱里は定時で退社すると、菊川の運転で瑛と一緒に屋敷に帰った。
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