幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「ただいまー」
 「お帰りなさい」
 「うおっ?!朱里?」

 夜になって屋敷に戻って来た瑛は、リビングのドアを開けた途端、優を抱いてこちらに笑いかけてくる朱里に驚いて後ずさる。

 「び、びっくりしたー。ホームドラマの新婚さんごっこかと思ったぞ」
 「は?何よそれ。優くん、おじさん変ですねー」

 首をかしげながらそう言うと、優はキャキャッと笑った。

 「おじさんって言うな。そしたら朱里もおばさんだぞ」
 「あら、瑛は優くんの叔父でしょ?私は隣の家の綺麗なお姉ちゃんだもん。ねー、優くん」

 優はにこにこと朱里を見て笑っている。

 生後すぐの頃からしょっちゅう優と一緒に遊んでいたせいか、優は母親がいなくても朱里になついて機嫌よく過ごしていた。

 「ところでなんで優がいるんだ?姉貴は?」

 リビングを見渡しながら瑛が言う。

 「あれ?瑛はお姉さんから連絡来てないの?」
 「うん、何も」

 そっかと、朱里はいきさつを話す。

 「え?それでお義兄さん、大丈夫なのか?」
 「うん。病院に着いたあとお姉さんから電話があってね。検査の結果も異常なかったって」
 「そうか、良かった」

 瑛と、部屋の隅にいた菊川がホッと息をつく。

 「しばらく入院するみたいだけど、お姉さんは優くんのこともあるから、明日帰って来るって」
 「え?じゃあ、優はひと晩ここで預かるのか?」
 「うん、そうよ。優くん、お姉ちゃんと一緒に寝ようねー」
 「ちょ、ちょっと待て」

 にこにこと笑い合う朱里と優の間に、瑛は戸惑ったように手を伸ばす。
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