幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 仕事で忙しい日々を送る中、朱里は久しぶりに大学の講義を受けに来た。

 数カ月ぶりに香澄に会い、食堂でおしゃべりを楽しむ。

 「聞いてー朱里!私、内内定もらったの!しかも、第一希望の企業から」
 「ええー!本当?良かったねー、香澄ちゃん」

 朱里は自分のことのように嬉しくなる。

 「香澄ちゃん、彼から話を聞いて、就活凄くがんばってたもんね。良かった良かった。これで卒業まで気楽に楽しめるねー」
 「うん!ホッとしたなあ。まあ、正式な内定はまだだけどね。朱里は?どんな感じなの?就活」

 ん?と朱里は手を止める。

 「私、就活…?えっ!」

 朱里の手から箸がポロリと落ちる。

 「どうしたの?朱里」
 「香澄ちゃん、私、忘れてた…」
 「え?何を?」
 「だから、就活…」

 えええーー?!と香澄の声が食堂に響き渡る。

 「ちょ、待って、どういうこと?朱里、何も就職活動してなかったの?」
 「うん。説明会も行ってないし、エントリーもしてない。もちろん面接も…」
 「嘘でしょ…。どうするの?今から」
 「どうしよう…。まだ間に合う?」
 「いや、そりゃ職種選ばなければね。なんとかなるかも。でも朱里はやりたいことあるんでしょ?ほら、広い視野で幼児教育に関わりたいとか言ってたじゃない?」
 「うん。それを今から調べて、企業をピックアップして、説明会は、もうやってないか。エントリーは、間に合う?」
 「さ、さあ。なんとも…」

 どよーんと朱里の顔が暗くなる。

 「と、とにかく!今から間に合う所探そうよ。ね?私も調べてみるから」
 「ありがとう、香澄ちゃん」

 朱里は半泣きで残りのご飯をかき込んだ。
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