幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「おはようございまー…す」
 「うわ!朱里ちゃん、暗っ!」
 「なんでそんなに分かりやすく落ち込んでるの?」

 次の日。
 出社するなり朱里は田畑と川辺に問い詰められる。

 「私、自分がこんなにもバカだとは思いませんでしたー!」

 そう言うと、ガバッと机に突っ伏す。

 「あの、朱里ちゃん?とにかく事情を話してよ。ね?」
 「そうだよ。何か仕事でミスしたの?不備があったとか?それなら俺達もフォローするから。ね?」

 朱里は顔を上げると、うっと言葉を詰まらせながら説明した。

 「はっ?就活を忘れてた?」

 二人はポカンとする。

 「やっぱり信じられないですよね?そんなこと。でも私、本当に忘れちゃってて。どうしましょう…」
 「うーん、そ、そうだな。んー、えっと、そうだな」
 「田畑さん?そうだな、の先は?」
 「あ、うん、そうだな」
 「ヒーッ!かける言葉もないって感じじゃないですか!」

 するとじっと考え込んでいた川辺が口を開く。

 「朱里ちゃん。ここにインターンで入ってきた時、実は教育関係の仕事に就きたいって言ってただろ?」
 「え、あ、はい。具体的にはまだ調べてなかったですけど」
 「うん、それでさ、今はその就活すら忘れてた。それって、ここでの仕事が楽しくて夢中になってたからじゃない?」

 え…と朱里は戸惑う。

 「それは確かに忙しくて、他のことは考えられませんでしたけど」
 「単に忙しいだけなら、就活を忘れたりしないよ。朱里ちゃんはここでの仕事が好きなんだと思う。社長に話して、このままここで就職出来ないか相談してみたら?」

 すると田畑も頷く。

 「そうだな。それに考えてみたら、朱里ちゃんがいつまでここで働くか、俺達もはっきり知らされてないだろう?それもなんか変だと思っててさ。実は社長、朱里ちゃんにこのままここで就職してもらいたいんじゃない?」
 「うーん…」
 「とにかくさ!一度社長と話してみなよ」
 「そうですね…」

 朱里は小さく頷いた。
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