幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「優くん、ちゃぷちゃぷ入ろうね。えーっとおもちゃはこれね。ほら!アヒルさん。ピーッて鳴くよ。可愛いね」
 「あー!」

 脱衣所で優に話しかける朱里の声を聞きながら、瑛は急いで頭を洗った。

 リンスをするはずがもう一度シャンプーをしてしまい、あーもう!と慌てる。

 身体も急いで洗ってから、タオルを腰に巻いて湯船に浸かり、恐る恐る声をかける。

 「あ、朱里ー。入ったぞ」
 「はーい。今行くね」

 優くん、バンザーイ!と服を脱がせる朱里の声がする。

 やがてタオルを身体に巻いた優を抱き、朱里がバスルームに入って来た。

 (あ、服着たままなんだ…)

 心の中で呟いてから、当たり前だろ!と瑛は自分に突っ込む。

 朱里は優を下ろして湯船の縁に捕まらせると、自分のジーンズの裾を折り、シャワーを弱めに出した。

 「はーい、優くん。シャワシャワするよー」

 そう言ってまずは、優の手にシャワーをかける。

 優は手を伸ばし、シャワーの感触を楽しんで笑顔になる。

 「気持ちいいねー。じゃあお腹にもかけちゃうよ。シャワシャワー」

 優は自分のお腹を見下ろし、じっと見つめてから朱里を見上げてキャッと笑い声を上げた。

 「ふふ、優くんシャワー上手だねー。そしたら今度はアワアワだよ。ほら!触ってごらん」

 雅が置いていったベビーソープのポンプを押し、朱里が手のひらに載せた泡を優に見せる。

 優はベタッと自分の手を重ねた。

 「お、優くんのおててにアワアワが付いたよ。そしたらそのアワアワ、優くんのお腹にも付けちゃおうか。ほら、ペタ!」

 朱里が優の手を取ってお腹に付けると、優は楽しそうに笑う。

 見つめ合う朱里と優の横で、湯船に浸かったまま瑛は真っ赤になっていた。
< 16 / 200 >

この作品をシェア

pagetop