幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「朱里ちゃーん、具合はどう?」

 しばらくパソコン作業をしていると、ノックの音がして瑛の母が顔を覗かせる。

 「おば様!だいぶ良くなりました。痛みもほとんどないし」
 「そう?良かった。ねえ、少しお茶でも飲まない?」
 「あ、はい!」

 朱里が移動しなくてもいいように、千代がベッドサイドのテーブルにお茶とケーキを並べてくれた。

 「朱里ちゃん、いつも本当にありがとう。瑛が迷惑ばかりかけて、ごめんなさいね」
 「え?おば様、何のお話ですか?」
 「うーん、色々よ。あの子、朱里ちゃんには何でも話せると思って甘えてるわね。一番大切にしなくてはいけない人は、朱里ちゃんなのに」

 ん?と朱里は首をひねる。

 「おば様。私、そんなふうに思ってませんよ?瑛はちゃんと私を大切にしてくれています」

 まあ!と、瑛の母は目を見開く。

 「そうなの?あの子、朱里ちゃんに、大切な人だって言ったの?」
 「え?そういう訳ではないですけど。ほら、昨日も私の足首を心配して、テーピングもしてくれたし。まあ、色々口げんかもしますけど、なんだかんだ優しいですよ」
 「え…、その程度なの?」

 は?と朱里は首をかしげる。

 「朱里ちゃん、そんなの人として当たり前よ?優しいとか、大切にしてくれるとか、そんなレベルじゃないわよ?」
 「はあ、そうですかね?」
 「そうよ!ああ、こんなんじゃだめね。あっという間に他の人に取られちゃうわ。瑛ったらもう!」
 「あの、おば様?」

 朱里は半分キョトンとしながら、憤慨する瑛の母の様子を見ていた。
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