幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 夜になり、朱里は帰宅した瑛の手を借りて1階に下りると、皆と一緒にダイニングテーブルで夕食を頂いた。

 朱里は改めて、長島から届いたメールの内容を報告する。

 「へえー、良かったな!朱里」
 「うん!私も本当に嬉しくて。あ、瑛。女の子達が動画を送ってくれたから、あとで見せるね。また遊びに来てくださいって」
 「そうかー。また行きたいな」
 「うん、私も」
 「よし、じゃあ、時間が出来たらまた行こう!」

 うん!と朱里は笑顔で頷いた。

 それと、と朱里は手を止めて話し出す。

 「瑛。私、自分のやりたいこと見つけたの。今のこの活動を続けていきたい。音楽を通じて人と人とを結びつけるこの仕事を、この先もがんばりたい。だから…」

 瑛に正面から向き合って告げた。

 「東条さんのマネージャーになるお話は、お断りします」

 朱里…と瑛が呟く。

 「これからも、瑛の仕事のお手伝いをさせてください。大学を卒業したあともずっと。アルバイトでもいいから」

 すると、へ?と瑛の父が素っ頓狂な声を上げた。

 「アルバイトって…朱里ちゃん?君は4月から、正式なうちの社員になることになってるよ?」

 は?と、今度は朱里が変な声を出す。
 
 「え、でも私、就職活動もしてないのに…」
 「いや、それはそうだろう。だって朱里ちゃんは、既に我が社の戦力だからね。色々な仕事を抱えてもらってる。逆に、君がいなくなるなんて考えてもみなかったよ。いやー、想像しただけでも怖い。朱里ちゃん、頼むから他に行くなんて言わないでおくれ」

 は、はあ、と朱里は拍子抜けする。

 「東条さんに、マネージャーになってくれと誘われたのかい?そりゃ、朱里ちゃんなら誘われるだろうなあ。でも朱里ちゃん。どうか我が社に力を貸してくれないかい?このまま、この活動をずっと続けてもらいたいんだ」
 「あ、はい。私もずっとこの仕事に携わりたいと思っています。よろしいのでしょうか?」
 「よろしいもなにも、是非ともお願いするよ。どうか正式に、4月から桐生ホールディングスの正社員になって欲しい」

 朱里は決意を込めて頷いた。

 「はい!よろしくお願いいたします」

 わあ!と、瑛の母や千代、菊川が拍手する。

 「良かったわあ。朱里ちゃん、ありがとう!これからもどうぞよろしくね」
 「こちらこそ。よろしくお願いします」

 その場にいる皆が笑顔で喜び合った。
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