幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第二十六章 初めてのデート
 次の日。
 会社で普段通りに仕事をしながら、チラリと瑛は隣のデスクの朱里を見る。

 見慣れているはずの朱里が、なんだか少し違った雰囲気に思えてドキドキした。

 夕べあれから、朱里が寝付くまでそばにいて、瑛は自分の屋敷に戻った。

 最後にもう一度、眠っている朱里にそっとキスをしたのは内緒だけれど…。

 そして今日は、屋敷で夕食を食べながら、朱里と一緒に社長に業務報告することになっていた。

 定時で上がり、二人は車に乗り込む。

 運転席の菊川が、バックミラー越しに二人の様子をうかがって声をかけた。

 「朱里さん、何かありましたか?」
 「え?いえ、何も」

 そうですか、と菊川はやや腑に落ちない様子で頷く。

 屋敷に着くと、久しぶりに雅と優も来ていた。

 「あーちゃー!」

 すっかり大きくなった優が駆け寄って朱里に抱きつく。

 「優くん!久しぶり。大きくなったねー」

 朱里は嬉しそうに優を抱き上げた。

 「朱里ちゃん、いらっしゃい」
 「お姉さん!お久しぶりです」
 「最近忙しそうねえ。優が、また朱里ちゃんのヴァイオリン聴きたいって言ってるの。カルテットで演奏する予定はないの?」

 あー…、と朱里は視線を逸らして考える。

 「奏先輩と光一先輩が社会人になったので、あれきり会ってないんですよ。でもまた何かの機会に演奏出来ればいいなと、私も願っています」
 「そうね、是非!楽しみにしてるわ」
 「はい、ありがとうございます」
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