幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「でも、良かったのかな?食べちゃって」

 ペロリとケーキを食べたあと、紅茶を飲みながら朱里が言う。

 「え?どういうこと?」
 「だって、婚約なんて誤解なのに。違いますってお返しした方が良かったんじゃない?」
 「でも、返されても困るだけだろ?」
 「そうだけど。食べちゃったら認めることになるんじゃない?婚約しましたって」
 「ああ、そうか。まあ、いいんじゃない?いずれそうなるんだから、嘘じゃないし」

 え…と朱里は戸惑う。

 「い、いずれ、そうなるの?あの、その…」
 「ん?朱里、照れてるの?」
 「いや、だって。まだ私達、そ、そんなに深い仲じゃないし…」

 ガチャリと瑛がティーカップを落としそうになる。

 「あの…、朱里?もしかして、煽ってる?その、そうなりたいって…」

 え?と首をかしげて考えてから、朱里は一気に顔を赤らめる。

 「ち、ち、違うの!そういう意味じゃなくて!全然!全くそんなことないから!」
 「そんな全力で否定されると…。それはそれで悲しくなるな」
 「えっと、瑛?」

 うつむく瑛を、朱里が心配そうに覗き込む。
 瑛は、ふっと頬を緩めた。

 「大丈夫。朱里のこと大切にするから。心配しないで」

 朱里が笑顔で、うん!と頷くと、瑛はちょっと苦笑いした。

 「でもその可愛さには負ける。それとその大胆なドレス姿も。朱里、カップ置いて」

 朱里がティーカップをテーブルに置くと、瑛はグッと朱里を抱き寄せた。

 「未来の俺の婚約者さん。今はせめてキスさせて」

 そう言って朱里の肩を抱き、深く口づける。

 角度を変えて何度も落とされるキスに、うっとりと朱里の身体から力が抜けていく。

 瑛はそんな朱里を強く胸に抱き締めた。
 頭をなでながら耳元で囁く。

 「朱里。俺は朱里が大好きだ。いつか必ずプロポーズするから、待ってて欲しい」

 朱里は頬を染めて頷く。

 「うん。私も瑛が大好きよ。ずっと瑛だけを想いながら待ってるね」

 瑛は身体を離し、朱里と見つめ合って微笑んでからもう一度優しくキスをした。
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