幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「朱里ちゃん、ハッピーバースデー!」

 皆がクラッカーを鳴らして拍手してくれる。

 「ありがとうございます!」

 朱里は嬉しそうに、皆を見渡した。

 テーブルに並べられた数々の美味しい料理を味わっていると、優が駆け寄ってきた。

 「あーちゃ!おたんじょうび、おめでとう!これ、プレゼント」

 そう言って朱里に、くるくる丸めてリボンで結んだ画用紙を渡す。

 「ありがとう!優くん。見てもいい?」
 「うん!」

 朱里はそっとリボンをほどいて画用紙を開いた。

 「わあ!可愛い!」

 にっこり笑った女の子と、その隣にはなんだかイカツイ顔の男の子。

 「優くん、これはだーれ?」
 「うんとね、あーちゃとあっくん」
 「あはは!これ瑛なのね。そっくり!優くん、とっても上手に描いてくれたね。ありがとう!大事に飾るね」
 「うん!」

 朱里は優の頭を優しくなでて微笑む。

 「朱里ちゃん、これは私からのプレゼント」
 「え?お姉さんまで…。すみません、お気遣いいただいて」
 「いいのよ!私が贈りたかっただけなんだから。ね、開けてみて」
 「はい!」

 綺麗にラッピングされた四角い箱を開けると、中には薄紫色のワンピースが入っていた。

 「わあー!可愛い!なんて素敵なの」
 「うふふ、朱里ちゃんに似合うと思ってね」
 「ありがとうございます!もったいなくて気軽に着られないわ」
 「あら、そんなこと言わないで。たくさん着てね」

 はい、と朱里は笑顔で頷いた。

 「朱里ちゃん、これは私達からよ」

 瑛の母も、小さな箱を差し出した。

 「え?おじ様とおば様まで、そんな。ありがとうございます」

 リボンをほどいてそっと箱を開けてみる。

 「え!こ、これは」

 中には、小さなパールが並んだネックレスとピアス。
 所々にキラキラと輝いているのは、もしかしてダイヤモンドだろうか…。

 朱里は恐縮して戸惑う。

 「こ、これは、いただけません。こんな高価なアクセサリーは…」
 「いいえ、受け取ってちょうだい。朱里ちゃん、コンサートの司会をする時に私服でドレスアップしてくれてるでしょう?アクセサリーもちゃんと着けてくれて。気になってたのよ。だからこれは会社からの支給だと思って。ね?」
 「そうだよ、朱里ちゃん。今まで気付かなくて悪かったね」

 いえ、そんな…と手を振ってから、朱里は有り難く受け取ることにした。

 「ありがとうございます。次に司会をする時に早速使わせていただきますね」

 もらったプレゼントを一つ一つ見返していると、瑛の父が口を開く。

 「それで、瑛は?朱里ちゃんに何をプレゼントするんだ?」

 「あなたっ!」「お父様っ!」と、母と雅が同時に止める。

 「ん?何か変な事言ったか?」
 「さ、さあさあ、それではケーキをご用意いたしましょう。ね、菊川さん」

 見兼ねた千代が話題を変える。

 「ええ。今、お持ちしますね」

 千代と菊川が、厨房からホールケーキと皿を持って来た。

 朱里の大好きなイチゴと生クリームのケーキだった。

 「わあ、可愛い!美味しそう」

 チョコプレートには、
 『Happy Birthday!朱里ちゃん』
 と書かれ、たくさんのロウソクも飾られている。

 皆がハッピーバースデーの歌を歌ってくれ、朱里は一気にロウソクを吹き消した。

 「おめでとう!」
 「ありがとうございます!」

 大切な人達に祝ってもらえたことが嬉しくて、朱里は輝くような笑顔を浮かべていた。
< 187 / 200 >

この作品をシェア

pagetop