幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第二十八章 新たな生活
 「うわあ!朱里ちゃん!そ、そ、それは一体…」

 次の日。
 出社するなり、田畑と川辺は朱里の左手に釘付けになる。

 「えっと、あの…」

 朱里は苦笑いを浮かべながら、瑛の様子をチラリとうかがう。

 しれっとパソコンに向かっている横顔に、このー!と思わず心の中で悪態をつく。

 瑛がくれたエンゲージリングは、とにかくキラキラと目立つのだ。

 会社では外していいか?と聞いたら、瑛は即座にだめだと答えた。

 「お前は俺のものだって証拠だからな。へーんだ!」

 何が、へーんだ!なのやら…。
 朱里は呆れてため息をついた。

 その場を笑ってごまかし、朱里はパソコンに向かう。

 田畑と川辺は、まだ二人で何かヒソヒソと囁き合っているが、ここは黙ってやり過ごそう。

 朱里がそう決めた時、ふいに隣のデスクから声をかけられた。

 「朱里、来週のスケジュール確認頼む」

 朱里が絶句して瑛を見た時、ひゃー!!という田畑と川辺の声が響き渡った。

 「あ、あ、朱里ー?!部長、まさかっ!」

 驚きのあまり、田畑と川辺は互いの両手を握り合っている。

 「い、いつからですか?!部長、一体いつから朱里ちゃんのことを?」
 「ん?ああ。子どもの時からです」

 ひゃー!!ええー?!どういうことー?!と、田畑と川辺はその日1日仕事にならなかった。
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