幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「朱里、朱里!」

 瑛に揺すり起こされ、朱里はうーんと気だるそうに目を開ける。

 「大丈夫か?朱里、あれから2時間も寝てたぞ」
 「え、ほんと?優くんは?」

 慌てて身体を起こして隣の優を見る。

 「大丈夫。一度も起きずにぐっすり寝てるよ」
 「良かったー」

 朱里は瑛に続いて和室の隣のリビングに行く。

 千代はもう帰ったらしく、菊川が紅茶を淹れてくれていた。

 「朱里さん、どうぞ。ロイヤルミルクティーです」
 「わあ!ありがとうございます」

 朱里は早速ソファに座ってカップを手にする。

 「美味しい!」
 「それは良かった。朱里さん、優くんのお世話でお疲れでしょう?」
 「ううん。優くんと遊ぶのはとても楽しいです。可愛くて、私も早く赤ちゃんが欲しくなっちゃう」
 「朱里さんなら、きっと優しいお母さんになりますよ」

 微笑み合う朱里と菊川の横で、瑛は黙って紅茶を飲む。

 「ねえ、瑛」

 急に朱里に話しかけられ、瑛はドギマギした。

 「な、なに?」
 「私、これからお風呂に入って寝る支度してくるね。それまで優くんのことお願いしてもいい?私もすぐに和室に戻るから」
 「あ、うん。分かった。ゆっくりしてきていいぞ」
 「ありがとう」

 朱里はロイヤルミルクティーを最後まで味わってから、2階の部屋へ上がった。

 部屋のお風呂に入り、パジャマに着替えて髪を乾かす。

 歯磨きも済ませてから1階に下りると、菊川が冷たい麦茶を出してくれた。

 夜中に優が目を覚ました時の為にと、ベビー麦茶も渡してくれる。

 「さすが菊川さん。ありがとうございます!菊川さんも良いパパになりますね、きっと」

 ふふっと朱里が笑うと菊川も微笑む。

 朱里は菊川に、おやすみなさいと挨拶してから和室に戻った。
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