幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「それでは、瑛と朱里ちゃんの婚約を祝して…」

 かんぱーい!と皆でグラスを掲げる。

 瑛の両親、雅、優、そして菊川と千代も今夜は一緒にテーブルを囲む。

 「いやー、もうヤキモキしっぱなしだったよ。長かったなあ」
 「本当に。でもその分喜びもひとしおよ」

 両親がしみじみ言うと、雅が身を乗り出してくる。

 「それで、入籍と式はいつにするの?」
 「え?いえ、まだ何も決めていなくて…」

 隣の瑛と顔を見合わせつつ、朱里が答えた。

 「だったら、籍だけでも先に入れたら?ほら、朱里ちゃんの誕生日に婚約したんだから、瑛の誕生日に入籍。ね?」

 え?!と二人は驚く。

 「俺の誕生日って、4日後だぞ?」
 「そうよ。充分間に合うじゃない」
 「そ、そんな急に?」
 「あら、瑛。そんなこと言ってるうちに、朱里ちゃんが誰かに取られちゃったらどうするの?朱里ちゃん、まだ独身なんだからね」

 すると瑛はハッとしたように朱里を見る。

 「いやいや、そんなことないから。絶対ないって」

 朱里は慌てて否定する。
 だが瑛はじっと朱里を見つめて頷いた。

 「よし、そうしよう。朱里、4日後に婚姻届出しに行くぞ」
 「え、ほ、本当に?」
 「ああ。やっとここまで来たのに、最後の最後で誰かに取られたら、もう俺は立ち直れない。式はあとでもいいけど、入籍はすぐにしよう」

 わー!と皆が拍手する。

 「決まりね!朱里ちゃん、ご両親に報告は?」
 「あ、今日のお昼休みに電話で話しました。なんだかあっけないくらい、あ、そう。良かったわねーって」
 「そうなのね!でも瑛、ちゃんと朱里ちゃんのご両親にご挨拶に伺いなさい。明後日の土曜日は、ご両親のご都合どうかしら?」
 「あ、はい。土曜日なら父も家にいると思います」
 「そう!じゃあ、ご両親にお許しいただけたら、婚姻届に署名ももらっていらっしゃいね」

 雅の言葉でトントン拍子に話は進み、二人は土曜日に、朱里の父の赴任先の名古屋に向かった。
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