幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
「名古屋かー。なんだかんだ、私ここで降りるのは初めてかも」
新鮮な気持ちで新幹線を降りる。
「愛知県からも、コンサートの依頼来てたよな?」
「うん、あった。過疎地域のホールからね。一度電話で話して、いずれ時期が来たら具体的に進めることになってるよ」
「ふーん。今夜はここに泊まって、明日時間があったらホールの下見だけでもするか?」
「うん、いいね!そうしよう」
そんなことを話しながら、タクシーで朱里の両親の住むマンションに向かう。
「えーっと、ここみたいね」
栗田の表札を確かめてからインターフォンを押す。
はーい、と奥から母親の声がして玄関のドアが開いた。
「あらー、久しぶりねー。二人とも元気にしてた?」
「うん。お母さん達も元気?」
「元気よ。さ、入って」
自分の両親の住まいだというのに、初めて足を踏み入れる朱里はソワソワする。
「おっ、朱里、瑛くん。よく来たね!」
リビングのソファから、父親が立ち上がった。
「ご無沙汰しております」
瑛が頭を下げて、手土産を渡す。
「すっかり大人っぽくなって。さあさあ、どうぞ座って」
ソファの前のローテーブルに紅茶を置きながら、母親がふと朱里の左手を見て驚きの声を上げた。
「あ、あ、朱里!その指輪…」
え?ああ、と、朱里はエンゲージリングに手を添える。
「なんて素敵なの…。デザインも可愛いし、それにそのダイヤモンド!あー、眩しすぎる」
両手で頬を押さえて母親はうっとりする。
「こんな指輪をもらえるなんて、朱里、あなた世界一の幸せ者よ。あー、いいなー」
ウグッと言葉を詰まらせた父親が、咳払いをしてから真面目に話し出した。
「瑛くん。本当に朱里でいいのかい?そりゃ、私達は二人が小さい頃から一緒にいるのを見てきたから、結婚するのは大いに嬉しいけど。なんと言っても君はあの桐生ホールディングスの御曹司だ。家柄が違いすぎるだろう?もっと身分が釣り合うご令嬢の方がふさわしいんじゃないかな?」
すると瑛はきっぱりと首を振った。
「おじさん。俺はただの桐生 瑛です。小さい時から朱里と一緒に遊んで、朱里と一緒に大きくなりました。どんな時も朱里がそばにいてくれました。これからの人生も、朱里と一緒に歩んでいきたいです。朱里のいない人生は考えられません」
それに、と一度視線を落としてから、瑛は話を続ける。
「朱里はすでに桐生ホールディングスの重要な戦力です。朱里のおかげで社会貢献にも携われ、我が社は大きく注目されました。社内の誰もが朱里を認めています。そんな彼女以上の人なんて、誰も思いつきません」
まあ、そうなの?と母親が感心したように朱里を見る。
「おじさん、おばさん。俺は必ず朱里を守ります。どんな時もそばにいます。俺が自分の手で朱里を幸せにしたいんです。どうか、結婚させてください」
瑛は深々と頭を下げる。
「瑛くん。もちろんだよ。私達の方こそ、君に感謝している。君のご両親やご家族にもね。一般庶民の娘を昔から我が子のように可愛がってくださっただけでなく、こうして結婚まで認めてもらえるなんて。本当にありがとう。瑛くん、これからも朱里をよろしくな」
「はい、ありがとうございます」
朱里は目を潤ませて両親にお礼を言う。
「お父さん、お母さん。ありがとう。何も心配しないでね。瑛は私のこと、凄く大事にしてくれてるから」
「あらやだ。なーに?のろけちゃって。心配なんてする訳ないでしょ?あなた達は今までだって、ずーっと仲良しだったんだから」
そう言ってふふっと母は娘に微笑む。
「幸せにね、朱里」
「うん!ありがとう、お母さん」
新鮮な気持ちで新幹線を降りる。
「愛知県からも、コンサートの依頼来てたよな?」
「うん、あった。過疎地域のホールからね。一度電話で話して、いずれ時期が来たら具体的に進めることになってるよ」
「ふーん。今夜はここに泊まって、明日時間があったらホールの下見だけでもするか?」
「うん、いいね!そうしよう」
そんなことを話しながら、タクシーで朱里の両親の住むマンションに向かう。
「えーっと、ここみたいね」
栗田の表札を確かめてからインターフォンを押す。
はーい、と奥から母親の声がして玄関のドアが開いた。
「あらー、久しぶりねー。二人とも元気にしてた?」
「うん。お母さん達も元気?」
「元気よ。さ、入って」
自分の両親の住まいだというのに、初めて足を踏み入れる朱里はソワソワする。
「おっ、朱里、瑛くん。よく来たね!」
リビングのソファから、父親が立ち上がった。
「ご無沙汰しております」
瑛が頭を下げて、手土産を渡す。
「すっかり大人っぽくなって。さあさあ、どうぞ座って」
ソファの前のローテーブルに紅茶を置きながら、母親がふと朱里の左手を見て驚きの声を上げた。
「あ、あ、朱里!その指輪…」
え?ああ、と、朱里はエンゲージリングに手を添える。
「なんて素敵なの…。デザインも可愛いし、それにそのダイヤモンド!あー、眩しすぎる」
両手で頬を押さえて母親はうっとりする。
「こんな指輪をもらえるなんて、朱里、あなた世界一の幸せ者よ。あー、いいなー」
ウグッと言葉を詰まらせた父親が、咳払いをしてから真面目に話し出した。
「瑛くん。本当に朱里でいいのかい?そりゃ、私達は二人が小さい頃から一緒にいるのを見てきたから、結婚するのは大いに嬉しいけど。なんと言っても君はあの桐生ホールディングスの御曹司だ。家柄が違いすぎるだろう?もっと身分が釣り合うご令嬢の方がふさわしいんじゃないかな?」
すると瑛はきっぱりと首を振った。
「おじさん。俺はただの桐生 瑛です。小さい時から朱里と一緒に遊んで、朱里と一緒に大きくなりました。どんな時も朱里がそばにいてくれました。これからの人生も、朱里と一緒に歩んでいきたいです。朱里のいない人生は考えられません」
それに、と一度視線を落としてから、瑛は話を続ける。
「朱里はすでに桐生ホールディングスの重要な戦力です。朱里のおかげで社会貢献にも携われ、我が社は大きく注目されました。社内の誰もが朱里を認めています。そんな彼女以上の人なんて、誰も思いつきません」
まあ、そうなの?と母親が感心したように朱里を見る。
「おじさん、おばさん。俺は必ず朱里を守ります。どんな時もそばにいます。俺が自分の手で朱里を幸せにしたいんです。どうか、結婚させてください」
瑛は深々と頭を下げる。
「瑛くん。もちろんだよ。私達の方こそ、君に感謝している。君のご両親やご家族にもね。一般庶民の娘を昔から我が子のように可愛がってくださっただけでなく、こうして結婚まで認めてもらえるなんて。本当にありがとう。瑛くん、これからも朱里をよろしくな」
「はい、ありがとうございます」
朱里は目を潤ませて両親にお礼を言う。
「お父さん、お母さん。ありがとう。何も心配しないでね。瑛は私のこと、凄く大事にしてくれてるから」
「あらやだ。なーに?のろけちゃって。心配なんてする訳ないでしょ?あなた達は今までだって、ずーっと仲良しだったんだから」
そう言ってふふっと母は娘に微笑む。
「幸せにね、朱里」
「うん!ありがとう、お母さん」