幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 持って来た婚姻届に署名してもらうと、ようやく四人はホッとしたようにいつもの雰囲気に戻る。

 「あー、腹減ったな。なんか寿司でも取るか?」
 「いいわね。そうしましょ」

 おしゃべりしながらお寿司を食べた後、母親が朱里の子どもの頃のアルバムを出してきた。

 「見てー!朱里も瑛くんも、可愛いったらもう!」
 「うわ、小さい!何歳の頃?」
 「これはね、2歳半かな?あなた達記憶にないでしょう?」
 「うん、覚えてない」
 「言葉をしゃべり始めてね、お互い、あーちゃん、あっくんって呼んでたのよ」

 ええー?!と二人で驚く。

 「そうなの?そんな呼び方してたんだ」
 「そうよ。でも3歳過ぎてからは、朱里、瑛くん、になったの」

 へえーと二人は頷く。

 「もうね、どの写真を見てもあなた達二人が一緒にいるの。これで瑛くんが別のご令嬢と結婚したら、この写真どうすればいいのかしらって、ちょっと悩んでたのよ。良かったわー、これでなんの気兼ねもなく見返せるわね」

 母親は嬉しそうにアルバムをめくる。

 「これからも、あなた達二人の写真が増えるのね。楽しみ!新しいアルバムを買っておかなくちゃ!」
 「そうだな。とりあえず10冊は買っておこう」
 「やだ!お母さんもお父さんも、いつまで私を子ども扱いするのよ」
 「あら?いつまでもあなたは私達の子どもよ。それに瑛くんもね。ずーっと二人の成長を見守ってきたんだから。これからもあなた達を見守っていくわ。いつまでもね」

 両親が笑顔で頷き、朱里も瑛と顔を見合わせて微笑んだ。
< 192 / 200 >

この作品をシェア

pagetop