幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 翌日の瑛の誕生日。
 二人は半日休暇を取って、午後から区役所に婚姻届を提出しに行った。

 不備もなく無事に受理され、晴れて朱里は「桐生 朱里」となった。

 「えーっと、住所変更と免許証の変更手続き、あとは会社にも届けを出さなきゃいけないし…」

 朱里が面倒な手続きを指折り数えていると、瑛がその手を止めた。

 「そんな現実的な話は今度でいいの。それよりデートしようよ。ね?奥さん」

 奥さんー?と朱里は眉を寄せる。

 「なんかそれ、やだ」
 「じゃあ何がいいの?嫁さん?あ、ワイフとか?」

 ブッと朱里は吹き出す。

 「どの口でワイフとか言ってんの?もう、瑛ったら」
 「いいだろ?じゃあ日替わりで楽しもう。今日は、そうだなー。ハニーでいこう」

 馴れ馴れしく肩を抱こうとする瑛の手をぺしっと叩く。

 「日替わり定食みたいでやだ!ハニーもやだ!プーさんみたい」
 「いいじゃない、プーさん。あ、ほら。朱里のほっぺた、ちょうど今プーって膨れてるしな」
 「もう!入籍直後に何よこの会話!」
 「あはは!」

 結局いつもの二人のまま、役所をあとにした。
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