幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「あおぞら幼稚園のみんな、こんにちはー!」
 「こんにちはー!」

 元気な子ども達の返事に、朱里はにっこり笑顔になる。

 「今日はみんなと一緒に音楽を楽しみたいと思います!どうぞよろしくね」

 優が通い始めた幼稚園に、朱里、美園、光一、奏がカルテットで演奏に訪れたのは、結婚式からちょうど一年が経った頃だった。

 幼稚園での演奏ということで、衣装はあえて明るいカラフルな普段着。

 そして朱里は、ゆったりしたシルエットのワンピースを着ていた。

 少しふっくらとしてきたお腹の中には、瑛との大切な赤ちゃんがいる。

 幼稚園でいつも歌っていると雅と優が教えてくれた曲を演奏すると、大きな声で子ども達が歌い始めた。

 四人は笑顔で子ども達とアイコンタクトを取りながら、楽しそうに演奏する。

 「みんな、お歌とっても上手だねー!じゃあ次も、きっとみんながよく知ってる歌だよ。元気に歌ってね!」

 朱里がそう言ってから、次の曲に移る。
 前奏を少し演奏しただけで、子ども達は、これ知ってるー!と手を叩いて喜ぶ。

 「いくよー、さんハイ!」

 子ども達が明るく元気に歌い出す。
 どの子もみんな、笑顔が輝いている。

 (なんて幸せな光景なの…)

 朱里が感動で胸をいっぱいにさせたその時…
 ポコン!と朱里のお腹が小さく動いた。

 (あっ!赤ちゃんが動いた!)

 初めての胎動に朱里は一瞬驚いてから、ふふっと微笑む。

 (ママの演奏、聴こえたのかな?)

 四人で奏でるハーモニー、子ども達の可愛い歌声、そしてお腹の中の小さな命。

 朱里はたくさんの愛と幸せを感じながら、目を閉じて胸いっぱいに深呼吸した。

 この世界がいつまでも、優しさと幸せで満ち溢れていますように…

 子ども達の未来が、いつまでも明るく照らされていますように…

 願いを込めて、朱里は笑顔で演奏した。

 未来へと繋がる、幸せのハーモニーを…

 (完)
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