幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第五章 愛の挨拶
 「うーん…」

 大学のキャンパスにある掲示板の前で、朱里は一人考え込んでいた。

 「朱里、お待たせ!」
 「あ、香澄ちゃん」

 待ち合わせしていた香澄に声をかけられ、朱里は笑顔で振り返る。

 「なに?真剣に見てたけど、何のお知らせ?」
 「えっとね、インターンシップ」
 「ああ、もうそういう時期よね。朱里はどれに参加するの?」
 「それが迷っててね」

 食堂に向かいながら話し出す。

 「幼稚園教諭の免許を取るつもりだから、幼稚園の現場には行くつもりなの。それとは別に、職業体験とか工場見学とかにも興味があってね。あとは、子どもの為の芸術プログラムとか…」
 「えええ?ちょっと、なんだか情報量過多なんですけど?」

 あははと朱里は苦笑いする。

 「そうだよね。とっ散らかってて自分でも呆れちゃう。でも、単に幼稚園児だけではなくて、もっとこう…視野を広くして幼児教育に関わりたいんだ。親子で参加出来るプログラムとか、美術館やコンサートホールで子ども向けのイベント企画したり…」
 「ほえー!法学部の私にはさっぱりだけど、なんだかいいね!朱里らしいというか、楽しそうな世界ね」
 「そう?ありがとう。まだ漠然としすぎてるけど、これから色々リサーチして考えてみるね」
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