幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「よーし、じゃあそれぞれイチオシの曲教えて。これはやりたいってやつ」

 次の日のミーティング。
 集まった四人は、依頼演奏会の曲を相談していた。

 奏の言葉に、まず光一が手を挙げる。

 「俺は、アイネクライネかな」
 「おお、王道だな。美園は?」
 「私は、強いて言うならパッヘルベルのカノンがいいです」
 「うん。これも有名だし聴きやすいな。朱里は?」
 「あ、えっと…」

 三人の視線を感じて少しためらってから、朱里は口を開く。

 「私は、愛の挨拶…がいいです」

 曲名を口にしただけなのに、なぜか顔が赤くなる。

 「んー、どれも捨てがたいな」

 奏が腕組みして宙を見る。

 「持ち時間40分。多少オーバーしてもいいと言われてるし…。よし!じゃあこの三曲はやる方向で」

 えっ!と朱里は顔を上げて奏を見る。

 「アイネクライネは、抜粋でな。この三曲以外はクラシックじゃないのにしよう。映画音楽、歌謡曲、教科書にも載ってるような合唱曲、なんならポップスでも。手拍子で盛り上がれるような、アップテンポでノリがいいやつもな」

 うんうんと、皆で頷く。

 その日のうちに、プログラムはある程度決まった。

 「あとは、俺が少しアレンジしておく。出来次第PDFで送るから、各自音出ししてくれ。来週の合わせで固めていこう」
 「はい!」

 奏に返事をしながら、朱里は楽しみで胸がワクワクした。
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