幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第六章 カルテット
 「皆様、こんにちは!このあと午後3時から、弦楽四重奏の演奏が始まります。どうぞお座りになってお待ちください」

 マイクを通して、管理組合の人が呼び込みをする声が控え室まで聞こえてきて、朱里は一気に緊張が高まった。

 「うわー、どうしよう。手汗が凄いんだけど…」

 隣に座る美園がそう言って、ハンカチで手を拭う。

 「久しぶりだもんなー、人前で演奏するの。しかもオーケストラじゃなくてカルテット。ごまかし効かないよな」

 そう言う光一の言葉に奏が突っ込む。

 「おい、オーケストラならごまかしてるのか?光一」
 「ま、多少はねー」

 しれっとした顔で光一が言うと、皆は思わず笑い出す。

 緊張はいつの間にかほぐれていた。

 「久しぶりに俺達の演奏を聴いてもらえるんだ。思いっ切り楽しもうぜ!」
 「はい!」

 力強い奏のセリフに頷き、四人は笑顔で頷き合った。
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