幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
前奏の部分だけで、子ども達が喜んで手を叩き始めた。
朱里が、せーの!と言うと、皆で一斉に歌い出す。
子ども達の歌声に合わせて、テンポを少し落としながら演奏する。
途中、朱里と美園は立ち上がって客席の近くまで行き、子ども達に楽器を見せながら演奏した。
ロビー中が同じ音楽で一体となる心地よさを感じ、朱里達は笑顔で頷いた。
「みんな、どうもありがとう!とっても上手に歌えたね。では次は大人の皆さんも歌ってくださいね」
そして誰もが歌える名曲を、手拍子を促しながら演奏する。
大人達の綺麗な歌声がハーモニーとなり、朱里は思わずうっとりした。
いよいよ、最後の曲となる。
「皆様、本日は楽しいひとときを本当にありがとうございました。最後にこの曲でお別れしたいと思います。エルガーが最愛の妻、アリスに贈った曲です。どうぞ皆様も、大切な人を思い浮かべながらお聴きください。『愛の挨拶』」
しっとりした朱里の口調に合わせて客席も静まり返る。
朱里は深呼吸したあと、楽器を構えた。
四人の音色が響き合う。
優しくて甘い、愛の曲。
大切な人、愛する人、私は誰にこの曲を聴いて欲しいのだろう。
そんなことを考えながら、朱里は想いを込めて演奏した。
最後の一音が空気に溶け込み、静寂が訪れる。
次の瞬間、大きな拍手に包まれた。
四人は立ち上がりお辞儀をする。
だが拍手は鳴り止まない。
朱里は笑顔でマイクを握った。
「ありがとうございます!ではアンコールにお応えして、この曲で盛り上がりましょう!」
アップテンポな曲に、すぐに手拍子が起こる。
テレビ番組のテーマとして有名なこの曲は、これを弾きたくてヴァイオリンを始めたという男性も多いと言われている。
子どもも大人も、おじいさんもおばあさんも、皆、笑顔で手を叩いていた。
ロビーは熱気に包まれ、やがて四人が大きく宙に弓で弧を描きフィニッシュを決めると、わあ!っと皆が立ち上がって拍手を送った。
深々と頭を下げた朱里は、ゆっくりと顔を上げる。
と、次の瞬間、笑顔のまま固まった。
(………は?)
客席の後方に、さっきまではいなかった家族連れが急に現れていた。
その家族連れとは。
(え…瑛?お姉さん?優くんもいる。おじ様とおば様も?は?なんで?)
ぱちぱちと瞬きし、これは幻か?と目を凝らした時、瑛の背後に菊川の姿を見つけた。
(あーーー!!)
朱里は合点がいった。
このマンションで演奏することを伝えた、ただ一人の人物。
(きーくーかーわーさーん!)
思わず睨むと、菊川が苦笑いを浮かべて肩をすくめてみせた。
朱里が、せーの!と言うと、皆で一斉に歌い出す。
子ども達の歌声に合わせて、テンポを少し落としながら演奏する。
途中、朱里と美園は立ち上がって客席の近くまで行き、子ども達に楽器を見せながら演奏した。
ロビー中が同じ音楽で一体となる心地よさを感じ、朱里達は笑顔で頷いた。
「みんな、どうもありがとう!とっても上手に歌えたね。では次は大人の皆さんも歌ってくださいね」
そして誰もが歌える名曲を、手拍子を促しながら演奏する。
大人達の綺麗な歌声がハーモニーとなり、朱里は思わずうっとりした。
いよいよ、最後の曲となる。
「皆様、本日は楽しいひとときを本当にありがとうございました。最後にこの曲でお別れしたいと思います。エルガーが最愛の妻、アリスに贈った曲です。どうぞ皆様も、大切な人を思い浮かべながらお聴きください。『愛の挨拶』」
しっとりした朱里の口調に合わせて客席も静まり返る。
朱里は深呼吸したあと、楽器を構えた。
四人の音色が響き合う。
優しくて甘い、愛の曲。
大切な人、愛する人、私は誰にこの曲を聴いて欲しいのだろう。
そんなことを考えながら、朱里は想いを込めて演奏した。
最後の一音が空気に溶け込み、静寂が訪れる。
次の瞬間、大きな拍手に包まれた。
四人は立ち上がりお辞儀をする。
だが拍手は鳴り止まない。
朱里は笑顔でマイクを握った。
「ありがとうございます!ではアンコールにお応えして、この曲で盛り上がりましょう!」
アップテンポな曲に、すぐに手拍子が起こる。
テレビ番組のテーマとして有名なこの曲は、これを弾きたくてヴァイオリンを始めたという男性も多いと言われている。
子どもも大人も、おじいさんもおばあさんも、皆、笑顔で手を叩いていた。
ロビーは熱気に包まれ、やがて四人が大きく宙に弓で弧を描きフィニッシュを決めると、わあ!っと皆が立ち上がって拍手を送った。
深々と頭を下げた朱里は、ゆっくりと顔を上げる。
と、次の瞬間、笑顔のまま固まった。
(………は?)
客席の後方に、さっきまではいなかった家族連れが急に現れていた。
その家族連れとは。
(え…瑛?お姉さん?優くんもいる。おじ様とおば様も?は?なんで?)
ぱちぱちと瞬きし、これは幻か?と目を凝らした時、瑛の背後に菊川の姿を見つけた。
(あーーー!!)
朱里は合点がいった。
このマンションで演奏することを伝えた、ただ一人の人物。
(きーくーかーわーさーん!)
思わず睨むと、菊川が苦笑いを浮かべて肩をすくめてみせた。