幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「朱里さん。来週の金曜の夜、ご一緒に新東京フィルのコンサート聴きに行っていただけませんか?ヴァイオリンコンチェルトもあるんです」

 菊川の運転する車の中で、隣に座った聖美が朱里に話しかける。

 「わあー、行きたいです!プログラムは?」
 「チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトです」
 「チャイコン!ぜっったい行きます!!」
 「うふふ、良かったー」

 聖美は可憐な笑顔を見せると、助手席の瑛にも声をかける。

 「瑛さんはご都合いかがですか?」
 「え?ああ。金曜の夜ですね。大丈夫です」
 「本当ですか?良かったです!」

 朱里は、えっ?と真顔に戻る。

 「あの、聖美さん。あき…桐生さんと一緒に行かれるなら私は遠慮します」
 「まあ!そんな。私、どうしても朱里さんとご一緒したいんです。朱里さんとコンサートの感想をお話ししてみたくて…」

 すると瑛がこちらを振り返った。

 「私は音楽のことはさっぱりで、聖美さんのお話にはついていけませんしね」
 「いえ、あの、そういう意味では…」

 うつむいて小声になる聖美に、朱里は慌てて言った。

 「分かりました!私もご一緒させてください」
 「本当ですか?!」
 「ええ。その代わり私、コンサート終わった途端、ダーッと感想しゃべりまくりますよ?」
 「うふふ、ええ!たくさんおしゃべりしましょう。楽しみにしています」

 そう言って聖美は心底嬉しそうに笑った。
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