幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 朱里とたくさん食べ、遊び疲れた優が眠そうに目を擦り始める。

 雅は優を抱いて屋敷に入り、寝かしつけてきた。

 テラスに戻ると、ベンチに座った朱里がお酒を飲みながら、隣に座る菊川と話している。

 酔っ払ってきたのか、妙に明るくご機嫌で、菊川の肩をバシバシ叩いておかしそうに笑っていた。

 雅はテラスの入り口に座っている瑛の横に腰掛けた。

 「優、寝た?」
 「うん、もうぐっすり。今夜は泊まっていくわ」
 「そっか」

 二人でお酒を飲みながら、なんとなく朱里と菊川の様子を見つめる。

 「ねえ、瑛」
 「なに?」
 「今ならまだ間に合うと思うわよ」
 「は?何が?」

 雅は、少し視線を落とす。

 「本当にいいの?手を伸ばせば届く距離にいるのに。あなたこの先の人生、朱里ちゃんを見かける度に辛くなるんじゃない?」

 瑛は朱里を見つめたまま答えた。

 「ああ、いいんだ。朱里は…俺には眩しすぎる」
 「瑛…」

 瑛の視線の先で、朱里がひときわ楽しそうに笑い声を上げていた。
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