幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第十一章 突然の別れ
 大学の長い夏休みが終わり、朱里はまたキャンパスに通う毎日を送っていた。

 季節は秋へと移り変わり、夏が大好きな朱里はなんだか物哀しくなる。

 「香澄ちゃん、夏休みどうだった?」

 食堂でランチを食べながら、朱里は久しぶりに会う香澄に尋ねた。

 「んー?彼と旅行に行ったりして、まあまあ楽しかったよ。朱里は?」
 「私は、そうねえ。特にこれと言って何も」

 すると香澄は、ええー?と呆れたように言う。

 「またそんなこと言って。せっかくの大学生活、もっと楽しまなきゃだめよ。彼氏は?出来たの?」
 「出来てたら夏休みは充実してましたよー」
 「はは、確かに。もう誰か紹介しようか?合コンとかセッティングしてもいいよ?」

 んー、と朱里は考え込む。

 「香澄ちゃん。彼氏が出来ると幸せになれるの?」

 は?と香澄は面食らう。

 「何言ってんの?朱里」
 「いや、最近ずっと考えてるの。恋人が出来たら幸せな日々を過ごすのかと思ってたけど、そうでもないのかなって。ねえ、幸せって何?」

 香澄はもはや返す言葉もなく、ポカーンとしている。

 「あ、朱里?それ、夏休みボケなの?」
 「ううん。いたって真面目。大真面目」

 香澄は、いよいよ理解不能とばかりに眉を寄せる。

 「朱里。こうなったら荒療治よ。もう誰でもいいからつき合ったら?」
 「えー?そこに幸せはあるの?」
 「少なくともそんな変なセリフは言わなくなると思うわよ。ね?とにかく誰かとつき合ってみなよ」

 身を乗り出す香澄に、朱里は、うーんと渋ってみせた。
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