幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
 「うわ!凄い。もうお返事が来てる…」

 昼休みが終わり、デスクでパソコンを開いた朱里は新着メールをチェックしていた。

 午前中に送っておいた新東京フィルの事務局宛のメールに、早くも返信が届いている。

 「え、返事が来たの?なんて?」

 田畑と川辺が、朱里のパソコンを一緒に覗き込んだ。

 「えーっと、栗田様。この度は当楽団に大変光栄なお話をいただき、誠にありがとうございます。ご期待に添えるよう尽力いたしますので、詳しいご相談を是非ともよろしくお願いいたします、だって。良かったね、朱里ちゃん」
 「あ、は、はい」
 「ん?どうしたの?なんか、あんまり嬉しそうに見えないけど」
 「い、い、いえ、まさか、そんな。あまりにスケールの大きなお話に、びっくりしてしまって…。だって私のような者に、新東京フィルの方が、栗田様なんて…。いやー、さすがは桐生ホールディングスですね」

 すると、あはは!と田畑達は笑い出す。

 「確かにね。桐生ホールディングスの名前は、印籠並みに効力がある。けど、それに見合う人物でいないとって、俺はいつも自分に言い聞かせてる。桐生ホールディングスの名に恥じないようにって」

 はい、と朱里は神妙に頷いた。

 「私も肝に銘じて気を引き締め、桐生ホールディングスの一員としてきちんと対応いたします!」
 「よし、がんぱれ!何かあったらいつでもフォローするからね」
 「はい!ありがとうございます」

 田畑や川辺と微笑み合う朱里を、瑛は自分のデスクからそっと見守っていた。
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