Good day !
ある日の夕刻。
乗務を終えた大和は、ふと思い立って空港ターミナルのカフェに立ち寄った。
フライト中にきれいな夕陽が見え、その余韻に浸ろうと、滑走路に面したカフェでコーヒーを飲むことにした。
平日とあって店内は空いており、飛行機がよく見えるカウンターの席に着く。
すると、一つ席を空けた左側に恵真が座っていて、何やら熱心にテキストを広げて勉強していた。
大和が座ったことにも全く気づいていない。
しばらく窓の外を眺めながらコーヒーを飲んでいた大和は、何をそんなに真剣に勉強しているのかと、恵真の手元を覗き込んだ。
細かい文字は見えないが、飛行機の図と角度、矢印や数式などが見て取れる。
(クロスウインドランディングか。あちゃー)
大和はそっと顔をしかめた。
マイクロバーストの日、車の中で話したことを恵真は覚えているのだろう。
きっと勉強を重ね、もう一度大和に質問してくるはずだ。
(まいったな。全然そんなつもりじゃないのに。どうしよう、さっさと話すか?いや、でもなあ。あのキャプテンのやり方を彼女に実践してみせる訳にはいかないよな。ましてや彼女は、伊沢とつき合ってるんだし。あいつにも悪い)
ため息をついた時、ふうと恵真がひと息ついて顔を上げた。
窓の外の飛行機を見てにっこり笑っている。
本当に飛行機が好きなのだろう、なんとも無邪気な横顔は子どものようだった。
しばらく見とれていると、ふいに恵真が視線を右に移した。
大和と目が合い、ぱちぱちと瞬きを繰り返している。
と、次の瞬間、ひゃー!と言いながら立ち上がり、ガタガタと音を立ててカウンターチェアから落ちそうになった。
「おっと!危ない。大丈夫か?」
すかさず大和が手を伸ばして身体を支える。
「だだだ、大丈夫です!すみません、ほんとにもう、私ったら」
「謝らなくていいから、ほら、落ち着いて」
「は、はい」
恵真はもう一度椅子に座り直した。
乗務を終えた大和は、ふと思い立って空港ターミナルのカフェに立ち寄った。
フライト中にきれいな夕陽が見え、その余韻に浸ろうと、滑走路に面したカフェでコーヒーを飲むことにした。
平日とあって店内は空いており、飛行機がよく見えるカウンターの席に着く。
すると、一つ席を空けた左側に恵真が座っていて、何やら熱心にテキストを広げて勉強していた。
大和が座ったことにも全く気づいていない。
しばらく窓の外を眺めながらコーヒーを飲んでいた大和は、何をそんなに真剣に勉強しているのかと、恵真の手元を覗き込んだ。
細かい文字は見えないが、飛行機の図と角度、矢印や数式などが見て取れる。
(クロスウインドランディングか。あちゃー)
大和はそっと顔をしかめた。
マイクロバーストの日、車の中で話したことを恵真は覚えているのだろう。
きっと勉強を重ね、もう一度大和に質問してくるはずだ。
(まいったな。全然そんなつもりじゃないのに。どうしよう、さっさと話すか?いや、でもなあ。あのキャプテンのやり方を彼女に実践してみせる訳にはいかないよな。ましてや彼女は、伊沢とつき合ってるんだし。あいつにも悪い)
ため息をついた時、ふうと恵真がひと息ついて顔を上げた。
窓の外の飛行機を見てにっこり笑っている。
本当に飛行機が好きなのだろう、なんとも無邪気な横顔は子どものようだった。
しばらく見とれていると、ふいに恵真が視線を右に移した。
大和と目が合い、ぱちぱちと瞬きを繰り返している。
と、次の瞬間、ひゃー!と言いながら立ち上がり、ガタガタと音を立ててカウンターチェアから落ちそうになった。
「おっと!危ない。大丈夫か?」
すかさず大和が手を伸ばして身体を支える。
「だだだ、大丈夫です!すみません、ほんとにもう、私ったら」
「謝らなくていいから、ほら、落ち着いて」
「は、はい」
恵真はもう一度椅子に座り直した。