Good day !
「どうかしたか?」

大和が声をかけると、恵真は顔を上げて正面から向き合った。

「佐倉さん。さっき私のこと、ちゃんとパイロットだって認めてくださいましたよね?」
「ん?ああ、もちろん」
「それなら、もう聞かせて頂けるでしょうか?あのお話を」

ギクリと大和は顔をこわばらせる。

「えーっと、あのお話、とは?」

視線を泳がせつつとぼけてみる。

「ウイングローのコツです」

…だよな、と心の中で独りごつ。

「私、あれからも勉強しました。佐倉さんのお話を理解出来るようにって。今ならちゃんと分かると思うんです。教えて頂けないでしょうか?もし途中で私がお話についていけなかったら、その時は改めて勉強し直してきますので」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て!」

大和は慌てて手で遮る。

「あのな、そんなに大真面目に捉えないでくれ。俺が教わった時も、どちらかと言えば軽いノリだったんだ」
「ですが、それで佐倉さんはウイングローのコツを掴んだのですよね?」
「あ、うん、まあ、そうだな」
「でしたらやはり、それはとても貴重なお話です。私もぜひ」
「わ、分かった。話すよ、話すから」
「ほんとですか?!」

恵真は目を輝かせる。

「ああ。但し…」
「但し?」

大和は恵真と真剣に向き合う。

「いいか、この話は決してお前が想像しているような話ではない。恐らくドン引きする」
「え、まさかそんな…」
「いや、きっとする。だから、もしお前が少しでも引いてるなって思ったら俺はすぐに話をやめる。その条件でなら話す。いいか?」

はい、と恵真は神妙に頷く。
大和は覚悟を決めて話し始めた。
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