【SR】だるまさんが転んだ
俊介は半分ほどになった巻き煙草を捨て、その少女に向かって歩き出した。


空に吸い込まれていくような銃声が響いたのは、俊介が一歩目を踏み出した瞬間だった。


その銃声の方に視線を向けると、砂煙を巻き上げて走ってくる一台の中型トラックが急停車した所だった。


荷台には、年齢もバラバラな少年達が乗っている。


俊介から見れば、子供よりも歳の離れた少年ばかりだったが、殆どは肩から自動小銃を下げていた。


砂埃で汚れ、テープでグルグル巻きにされている様子から、黒光りする新品ではなく使い込まれていると分かる。


それがリアルさを物語り、俊介は勢いよく唾を飲み込まねばならなかったほどだった。


その中でも、先ほどの少女と同じぐらいの最年少と見える少年は、自分の手よりも大きなナイフを玩具のように弄んでいた。


日本なら、ランドセルに背負われているように見える小柄な少年の玩具が、自分の手の平よりも大きなナイフ。


誰に言うでもなく、気付けば俊介は同じ事を呟いていた。
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