【SR】だるまさんが転んだ
俊介の問いに答えると、ヴェンは先にバラックが建ち並ぶ方へ帰って行った。


その場に取り残された俊介は、ヴェンから聞かされた事を脳内で整理するのに必死だった。


情報の順番を入れ替え、理解する為だけに意識を注いだ。


数年前に政府側の指導者が病気で他界し、次の指導者に立った者に軍を纏める力は無かった。


その指導者は裏で早々にダルコに屈服し、今のこの国が出来た。


言うなれば、反政府側のダルコがこの国の指導者。


武器の製造密売の為に、試射を内戦と見せかけている。


武器と麻薬の密売、他国から政府側に渡された援助金もダルコの元に流れ、今では小国すら買えるほどになっているという。


そして、裏に住む者は裏に住む者と結託し、今では某大国も手を出せない人間になった。


聞けば聞くほど、想像すれば想像するほど、俊介はダルコという人間に恐怖を抱いていた。


気を抜けば、底知れぬ闇に引き吊り込まれそうなほどに…。
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