【SR】だるまさんが転んだ
「この内戦が終われば、もう辛い思いをしなくて良くなるんだと信じて、政府側の人間を沢山殺した。」


夕日をバックに話し出したヴェンの言葉は、俊介の胸に染み入った。


そして、ヴェンの言葉に聞き入った。


「小さな子供でもこれほどの人間を殺せるのかと、俺の使っていた銃は他の物より格段に売れ、ダルコの元に莫大な金が入り込んだと知るまでな。俺の今の地位はその時のものだ。」


ヴェンの言葉に耐えきれず視線を横に逸らすと、干上がった川がジープの横を走っていた。


まるで、今のヴェンの心のようだと、俊介は滲んだ瞳を拭った。


「家族の一人が国内から逃げたら、残された家族は皆殺しにされる。だが、内戦で家族を亡くした者には関係ない話しだ。全てがダルコの企みと知ってからは、そういう人間が国外に出られるよう手引きしてきた。その見返りに、逃げ延びた地でこの国の実状を話せと言ってな。」


平穏な日本ではそれが実状だとは信じられず、何処かで噂となった。


その噂が流れ流れて原島から自分の元に来たのだと、俊介は全てを理解した。
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