【SR】だるまさんが転んだ
需要が先か供給が先かなどと、俊介は不毛な事に頭を悩ませはしなかった。


非合法の物だからと言って、人目を気にしてこそこそと作られているものではない。


目の前に広がる広大な地が、俊介にそう語りかけていた。


其処で働く人達にとっては、それが生活の糧。


それが無くなる事は、イコールで死に直結する。


何が善で何が悪なのか、俊介は己を見失ってしまいそうだった。


出口の見えない迷宮を彷徨っている俊介の手の中には、神にも悪魔にもなるダルコが描かれたコインが握られている。


「シュンスケ、俺は昨日一つだけ嘘を吐いた。シュンスケには、国に帰ってこの実状を広く話して欲しい。その為にも、シュンスケの命は俺が保証する。」


深い瞳で見つめてくるヴェンに、俊介は再び助けられたと思わざるを得なかった。


迷宮の出口を射す光は此処に居るヴェンで有り、ヴェンこそがこの国の明日を照らす光だと…。
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