【SR】だるまさんが転んだ
警備兵の年齢は凡そ二十代後半。


それにも関わらず、ヴェンを気にしながら話している。


その光景に、ヴェンがどれほどの人間を殺して今の地位に居るのかが伺えた。


「中に入れるのは…。」


「怪しければ即座に殺せば良い。その判断を下すのは、俺やお前じゃなく指導者ダルコだろう?」


ヴェンの後頭部しか見れない俊介は、その表情がどういうものなのか見たかった。


見て芝居だと確かめ、殺すという言葉が嘘だと安心したかった。


ライフルを下ろした警備兵は、鍵を開けヴェンと俊介を中に通した。


二人の警備兵の俊介を見る眼差しは、矢のように尖り刃のように鋭利なものだった。


取り敢えずは無事に中に入られた事に、俊介は忘れていた呼吸を再開させた。
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