【SR】だるまさんが転んだ
研ぎ澄まされた牙を剥き出し、間から涎を垂らす三匹を前に、ヴェンは身動ぎ一つせず俊介にそう言った。


そうは言われても、ダルコに見つかってしまうかと思うと、俊介は気が気じゃなかった。


自分が銃を持っていれば、乱射して黙らせてやりたいとすら思ってしまう。


その時に俊介は気付いた。


殺さなければ殺される。


ならば自分は、殺される前に殺す。


そんな自分の奥底に眠っていた考えは、この国に染められてきたから浮かんだのだと。


俊介が自身に戸惑いを抱き呆然としている耳に、三匹の声が静まっていく様子が届く。


何度かヴェンに視線を送り、三匹で身体を集め腹這いに座り込んでいる。


それがヴェンから発せられた威圧の所為だと、神経を尖らせている俊介も気付いた。
< 46 / 57 >

この作品をシェア

pagetop