【SR】だるまさんが転んだ
新鮮な卵を使って作られた、だし巻き卵を口に放り込みビールで流し込んだ。


出汁と卵の旨味を追いかけるように、冷えたビールが喉の内側を刺激する。


お次は[どんちゃん]一番人気の焼き餃子だ。


見た目はアヒルの水掻きの形で、中身の餡にも水掻きが入っていると聞くと箸を遠ざけるが、食べてみると肉汁溢れる餡とぷりぷりした中にコリッとした触感が心地よく、コラーゲンも豊富らしい。


左手にジョッキを握り締めたまま、俊介が焼き餃子に伸ばした手は、その寸前で原島に止められた。


「ちょっと崎さん、俺の話しを聞いてからにしてくれよ。」


俊介が呑み始めると、記憶が無くなるまで呑む事を、長い付き合いの原島は知っている。


俊介も、奢って貰う立場なので強くも言えず、仕方なく原島の言葉に耳を貸した。


「で?」


「で?じゃないよ。頼むからさ、だるまさんが転んだを追ってくれないかな?」
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