Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
* * * *
お試し期間という疑似恋愛生活が始まってから、まもなく一ヶ月が過ぎようとしている。
宗吾は契約書代わりにと互いに婚姻届に署名をし、お試し期間の際に異論がなければ、このまま提出することになっていた。
本当にこれでいいのだろうかーーあと一週間で私の未来が決まってしまう。不安になりながらも、宗吾の自信あり気な表情を見ると不思議と安心出来た。
それに六花が宗吾の部屋に転がり込んでから、ほぼ毎日のようにお互いを求め合ったことも大きかった。自分の中にこれほどの性欲が存在していたことに驚いた。
同棲していた彼に対してはこんな気持ちになったことはなかったのに、宗吾が相手だと何故かそばにいるだけでドキドキして触れたくなるのだ。
久しぶりに感じた甘い疼きに溺れ、愛されているのだと勘違いするくらい宗吾は六花の乾きを癒してくれたーーしかし六花はようやくあることに気付く。
スマホに入っている生理日予測のアプリが示す日付けを過ぎても、一向に生理が始まる予兆がなかった。
宗吾が避妊していたかははっきりとはわからない。ただあの日の六花は、このままどうにでもなれと自棄になっていたのは事実だ。
仕事帰りに薬局で妊娠検査薬を買った帰ると、すぐにトイレに駆け込んだ。ゆっくりと結果が表示されるのを見て、へたへたとその場に座り込む。
明らかに陽性を示すサインに、冷や汗が止まらず心拍数が上がるのを感じていた。
彼は結婚をしようとは言ったけど、子供は望まないといった。それなら私の妊娠は不要なものかもしれない。
確認しなければならないのはわかっていたが、不安と恐怖に押しつぶされそうになる。
もし拒否されたらどうしようーー。彼が自分をどれほど求めているかわからないから怖い。最悪な事態ばかりが頭を巡り、極度の緊張感に包まれる。
お腹に手を当て、これからの自分のことに考えを巡らす。思いがけず体に宿った新しい命。宗吾とのことを考えれば不安しかない。だけど不思議と嬉しい気もしていた。
自身が結婚がしたいと思っていた背景には、子どもが欲しいという願望も存在していたからだ。三姉妹で仲が良かったこともあり、いつかは私も……そんなふうに思ったりもした。
本当は元彼との恋が最後だと思っていた。それが突然別れがやってきて、宗吾にときめいて、たった一カ月で妊娠が発覚するなんて……。
その時にドアが開く音がして、六花はハッと我に返る。振り返ると普段と何も変わらない様子の宗吾が、不思議そうに六花を見つめていた。
お試し期間という疑似恋愛生活が始まってから、まもなく一ヶ月が過ぎようとしている。
宗吾は契約書代わりにと互いに婚姻届に署名をし、お試し期間の際に異論がなければ、このまま提出することになっていた。
本当にこれでいいのだろうかーーあと一週間で私の未来が決まってしまう。不安になりながらも、宗吾の自信あり気な表情を見ると不思議と安心出来た。
それに六花が宗吾の部屋に転がり込んでから、ほぼ毎日のようにお互いを求め合ったことも大きかった。自分の中にこれほどの性欲が存在していたことに驚いた。
同棲していた彼に対してはこんな気持ちになったことはなかったのに、宗吾が相手だと何故かそばにいるだけでドキドキして触れたくなるのだ。
久しぶりに感じた甘い疼きに溺れ、愛されているのだと勘違いするくらい宗吾は六花の乾きを癒してくれたーーしかし六花はようやくあることに気付く。
スマホに入っている生理日予測のアプリが示す日付けを過ぎても、一向に生理が始まる予兆がなかった。
宗吾が避妊していたかははっきりとはわからない。ただあの日の六花は、このままどうにでもなれと自棄になっていたのは事実だ。
仕事帰りに薬局で妊娠検査薬を買った帰ると、すぐにトイレに駆け込んだ。ゆっくりと結果が表示されるのを見て、へたへたとその場に座り込む。
明らかに陽性を示すサインに、冷や汗が止まらず心拍数が上がるのを感じていた。
彼は結婚をしようとは言ったけど、子供は望まないといった。それなら私の妊娠は不要なものかもしれない。
確認しなければならないのはわかっていたが、不安と恐怖に押しつぶされそうになる。
もし拒否されたらどうしようーー。彼が自分をどれほど求めているかわからないから怖い。最悪な事態ばかりが頭を巡り、極度の緊張感に包まれる。
お腹に手を当て、これからの自分のことに考えを巡らす。思いがけず体に宿った新しい命。宗吾とのことを考えれば不安しかない。だけど不思議と嬉しい気もしていた。
自身が結婚がしたいと思っていた背景には、子どもが欲しいという願望も存在していたからだ。三姉妹で仲が良かったこともあり、いつかは私も……そんなふうに思ったりもした。
本当は元彼との恋が最後だと思っていた。それが突然別れがやってきて、宗吾にときめいて、たった一カ月で妊娠が発覚するなんて……。
その時にドアが開く音がして、六花はハッと我に返る。振り返ると普段と何も変わらない様子の宗吾が、不思議そうに六花を見つめていた。