Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
「他に連泊できる部屋が空いてなかったんだよ」
「あぁ、なるほど」
「それに距離が近い方が話しやすくないか?」
言葉の意味がわからず、六花は首を傾げる。
「……だって一人で泊まるつもりだったんでしょ? 距離は関係ないなくない?」
黙り込んだ宗吾を見てため息をつくと、彼の体を両手で押し退け、ベッドに倒れ込んだ。
「なんか疲れちゃった」
ヒールもドレスもメイクも人混みも全てが久しぶりで、思った以上に疲労感を覚える。まーちゃんを抱っこしてる時に感じる腰痛と肩こりと腕の痛みとはまた違う。
天井を見ながら、これからの一週間がどんなものになるのか想像がつかず不安ばかりが募る。
「ねぇ、まさか一週間ずっとこんな感じじゃないわよね?」
宗吾が隣に腰掛けたので、六花は慌てて起き上がって宗吾に詰め寄る。
「こんな感じって?」
「だから、ずっとホテルに缶詰めみたいな……」
六花が言うと、宗吾は腹を抱えて笑い出した。
「そんなわけないだろ? なんかその発想が六花だなぁって感じ」
「……何それ。バカにしてるわけ? じゃあどうするのか教えてよ」
口を尖らせた六花を見て、宗吾は笑いが止まらなくなる。イラっとした六花は宗吾の腹にパンチを食らわせた。
「ごめんごめん。せっかく擬似恋愛の延長戦だし、前回出来なかったことをいろいろやりたいなぁって思ったんだ。前回はデートとかじゃなくて、ほぼセックスばかりしてたし」
「セッ……⁈ ちょっと、少しオブラートに包みなさいよ!」
「でも事実だし。だから今回はそうじゃなくて、二人の時間を大切にしたいというか……」
宗吾は六花の方に向き直る。二人の間にあった緊張感がいつの間にかなくなり始めていた。
「例えばさ、この二年くらいでやりたいけど出来なかったこととか、やってみたいこととか、何かないか?」
確かに妊娠をして今まで、自分のやりたいことは全て後回しにしてきた。妊娠中は体調が悪くて出来なかったが、出産後は娘の世話や仕事に追われ、そんな時間はなかった。
今日は子どもを預けているし、宗吾の言葉は願ってもない提案だった。
「……旅行がしたいな。温泉に入ったり、美味しいものを食べたり」
「よし、じゃあ決まりだな。明日から旅行に行こう」
「明日⁈ 私何も準備がないんだけど……」
「じゃあ午前中に買い出しに行って、午後に俺の車で出発」
「あなた仕事は⁈」
「まだしばらく休み。来週から出勤だから」
何故か宗吾の都合の良いようにことが進んでいるような気がして、スピードについていけない六花は戸惑うばかりだった。
「家はないのに、車はあるのね……」
「実家に置いてもらってたからね」
疑っても正論ばかりが返ってくるため、反論するのもバカらしい気がしてやめてしまう。
「わかったわ。じゃあ明日からね」
六花が諦めたようにそう言った時だった。宗吾の手が伸びてきたかと思うと、体がベッドに沈んだ。
「あぁ、なるほど」
「それに距離が近い方が話しやすくないか?」
言葉の意味がわからず、六花は首を傾げる。
「……だって一人で泊まるつもりだったんでしょ? 距離は関係ないなくない?」
黙り込んだ宗吾を見てため息をつくと、彼の体を両手で押し退け、ベッドに倒れ込んだ。
「なんか疲れちゃった」
ヒールもドレスもメイクも人混みも全てが久しぶりで、思った以上に疲労感を覚える。まーちゃんを抱っこしてる時に感じる腰痛と肩こりと腕の痛みとはまた違う。
天井を見ながら、これからの一週間がどんなものになるのか想像がつかず不安ばかりが募る。
「ねぇ、まさか一週間ずっとこんな感じじゃないわよね?」
宗吾が隣に腰掛けたので、六花は慌てて起き上がって宗吾に詰め寄る。
「こんな感じって?」
「だから、ずっとホテルに缶詰めみたいな……」
六花が言うと、宗吾は腹を抱えて笑い出した。
「そんなわけないだろ? なんかその発想が六花だなぁって感じ」
「……何それ。バカにしてるわけ? じゃあどうするのか教えてよ」
口を尖らせた六花を見て、宗吾は笑いが止まらなくなる。イラっとした六花は宗吾の腹にパンチを食らわせた。
「ごめんごめん。せっかく擬似恋愛の延長戦だし、前回出来なかったことをいろいろやりたいなぁって思ったんだ。前回はデートとかじゃなくて、ほぼセックスばかりしてたし」
「セッ……⁈ ちょっと、少しオブラートに包みなさいよ!」
「でも事実だし。だから今回はそうじゃなくて、二人の時間を大切にしたいというか……」
宗吾は六花の方に向き直る。二人の間にあった緊張感がいつの間にかなくなり始めていた。
「例えばさ、この二年くらいでやりたいけど出来なかったこととか、やってみたいこととか、何かないか?」
確かに妊娠をして今まで、自分のやりたいことは全て後回しにしてきた。妊娠中は体調が悪くて出来なかったが、出産後は娘の世話や仕事に追われ、そんな時間はなかった。
今日は子どもを預けているし、宗吾の言葉は願ってもない提案だった。
「……旅行がしたいな。温泉に入ったり、美味しいものを食べたり」
「よし、じゃあ決まりだな。明日から旅行に行こう」
「明日⁈ 私何も準備がないんだけど……」
「じゃあ午前中に買い出しに行って、午後に俺の車で出発」
「あなた仕事は⁈」
「まだしばらく休み。来週から出勤だから」
何故か宗吾の都合の良いようにことが進んでいるような気がして、スピードについていけない六花は戸惑うばかりだった。
「家はないのに、車はあるのね……」
「実家に置いてもらってたからね」
疑っても正論ばかりが返ってくるため、反論するのもバカらしい気がしてやめてしまう。
「わかったわ。じゃあ明日からね」
六花が諦めたようにそう言った時だった。宗吾の手が伸びてきたかと思うと、体がベッドに沈んだ。