Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
浴室に入った六花はあることに気付いて肩を落とした。下着も替えの服もない上に、ガウンすら持たずにシャワーを浴びようとしていたのだ。
このドレスは萌音さんに借りたものだし、キレイな状態で返さなければならない。この後も着るなんて出来ない。さてどうしたものか……。
とりあえずガウンだけでも取ってこようかしら……そう思った時だった。扉がノックされる。
「な、何か用?」
「ちょっと開けてくれないか?」
さっきまであんなことがあったのに、浴室のドアを開けろですって? とはいえ閉じこもるわけにもいかず、渋々扉を開けた。
「これ」
宗吾は手に持っていたものを六花に差し出す。ホテルのガウンの他に、見覚えのある物が彼の手の中に見られた。それた彼の部屋にいる時に六花が使っていた下着類だった。
六花は腕を組むと、不審気に目を細めて宗吾を見やる。
「……なんで私の下着があるの?」
「えっ、だってないだろ?」
「そうじゃなくて、なんで未だに持っているのかってこと!」
その問いかけに、宗吾はバツが悪そうに目を逸らすと下を向く。何か言い訳を考えているのか、腰に手を当て黙り込む。
「……たまたま残ってた」
六花は片手で頭を押さえ、大きなため息をつく。
たまたま残っていたことは甘んじて受け入れたとして、何故今日持っているのよーーそう聞きたかったが、明らかに挙動がおかしな彼を見てると力が抜けてしまう。疲れがどっと押し寄せ、もうどうでも良くなってきた。
「わかったわ。もうこれ以上追求しないから、ガウンと下着をくれる?」
「あぁ、もちろん」
「一応聞いておくけど、私以外の女が付けたりしてないわよね?」
「それは断じてない」
「それならいいわ」
「それにちゃんと洗濯して、袋に入れて保管してたぞ」
「……わざわざありがとう」
浴室の扉を閉めかけた六花は、自分の言葉が妙な誤解を生んでしまう気がして、慌てて宗吾を呼び止める。
「あのね! 誰かが付けてたら気持ち悪いと思っただけだから! ヤキモチとかじゃないから!」
必死な様子の六花に、宗吾は始めキョトンとしていたものの、急に吹き出したかと思うと大きな声で笑い出した。
「そんなふうに思うわけないだろ!」
「そ、それなら良いんだけど」
「あはは! 六花は本当に面白すぎる。俺にはそんな相手、六花以外にいないから」
「……わかったわ」
「シャワーで申し訳ないけど、ゆっくり浴びて。明日の温泉で、今日の分の疲れを癒して」
六花は頷くと、自分の早とちりだったことに気付いて、困惑しながら扉を閉めた。
このドレスは萌音さんに借りたものだし、キレイな状態で返さなければならない。この後も着るなんて出来ない。さてどうしたものか……。
とりあえずガウンだけでも取ってこようかしら……そう思った時だった。扉がノックされる。
「な、何か用?」
「ちょっと開けてくれないか?」
さっきまであんなことがあったのに、浴室のドアを開けろですって? とはいえ閉じこもるわけにもいかず、渋々扉を開けた。
「これ」
宗吾は手に持っていたものを六花に差し出す。ホテルのガウンの他に、見覚えのある物が彼の手の中に見られた。それた彼の部屋にいる時に六花が使っていた下着類だった。
六花は腕を組むと、不審気に目を細めて宗吾を見やる。
「……なんで私の下着があるの?」
「えっ、だってないだろ?」
「そうじゃなくて、なんで未だに持っているのかってこと!」
その問いかけに、宗吾はバツが悪そうに目を逸らすと下を向く。何か言い訳を考えているのか、腰に手を当て黙り込む。
「……たまたま残ってた」
六花は片手で頭を押さえ、大きなため息をつく。
たまたま残っていたことは甘んじて受け入れたとして、何故今日持っているのよーーそう聞きたかったが、明らかに挙動がおかしな彼を見てると力が抜けてしまう。疲れがどっと押し寄せ、もうどうでも良くなってきた。
「わかったわ。もうこれ以上追求しないから、ガウンと下着をくれる?」
「あぁ、もちろん」
「一応聞いておくけど、私以外の女が付けたりしてないわよね?」
「それは断じてない」
「それならいいわ」
「それにちゃんと洗濯して、袋に入れて保管してたぞ」
「……わざわざありがとう」
浴室の扉を閉めかけた六花は、自分の言葉が妙な誤解を生んでしまう気がして、慌てて宗吾を呼び止める。
「あのね! 誰かが付けてたら気持ち悪いと思っただけだから! ヤキモチとかじゃないから!」
必死な様子の六花に、宗吾は始めキョトンとしていたものの、急に吹き出したかと思うと大きな声で笑い出した。
「そんなふうに思うわけないだろ!」
「そ、それなら良いんだけど」
「あはは! 六花は本当に面白すぎる。俺にはそんな相手、六花以外にいないから」
「……わかったわ」
「シャワーで申し訳ないけど、ゆっくり浴びて。明日の温泉で、今日の分の疲れを癒して」
六花は頷くと、自分の早とちりだったことに気付いて、困惑しながら扉を閉めた。