Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
 何度も優しく唇が重ねられる。先ほどとは違う甘いだけのキスに、六花は体の力が徐々に抜けていくのを感じていた。

 そのことが伝わったのか、宗吾はキスをしたまま六花の体に手を回して抱き上げる。そして彼女の足の間に自身の体を滑り込ませて、自身の足の上に座らせた。

 (あら)わになった六花の胸の頂を指で擦ったり、摘んだり、宗吾は少しずつ六花の体を攻めていく。

 宗吾に唇を塞がれているため声を出すことも出来ず、じわじわとやってくる気持ちよさに息遣いが荒くなっていた。

「嫌なら抵抗しろよ……」

 唇が離れ、ようやく呼吸が出来たかと思うと、宗吾はゆっくりと六花の首筋に唇を這わせながら胸元まで下り、胸の頂を口に含むと舌先で転がし始めた。

 こんなの……抵抗出来るわけないじゃないーー片方を舌でしつこいくらいに(ねぶ)り、もう片方は指先でいじられ続ける。

 六花の口からは甘い声が漏れ、伸ばした腕で宗吾の頭を抱きしめた。

 宗吾は私が抵抗出来ないことを知っていてやっているに違いない。じっくり時間をかけて繰り返す愛撫は、六花を徐々に快楽の波間へと呑み込んでいく。

「ほら……やめて欲しいならそう言わないと、六花の中のもっともっと深いところまで攻めていくよ」

 なんてことを言うのかしら……私がこの時間が好きだったことをちゃんと覚えているんだ。六花は唇を噛み、敢えて何も返事をしなかった。肯定しないけど、否定もしない。それは暗黙の了解だった。

 宗吾の唇が再び六花の唇を捕えると、舌先で砦をこじ開け、中へと侵入していく。お互いの舌を熱く絡め合っていると、宗吾の手が六花の足をなぞりながらじわじわと彼女の秘部へと到達した。

 敏感な部分を指で何度もなぞると、六花の体が悦びに震える。それからゆっくりと宗吾の指が六花の奥へと入っていき、とうとう六花の体は大きく反り返り、宗吾の胸に倒れ込んだ。

 顔は上気し、息は荒く胸を大きく上下させる。頭はボーッとし、心臓の音が驚くほど大きく耳に響いた。

 宗吾に力いっぱい抱きしめられると、切ない気持ちになるのはどうしてだろう。

 もっと深くまで彼を感じたい……そしてここにはあるはずのない彼の愛が欲しくなってしまうからかもしれない。
< 56 / 112 >

この作品をシェア

pagetop