Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
7 同室〜三日目〜
 体を包み込まれる温もりに心地よさを感じながら目が覚ます。しかも寝返りを打ったのか、宗吾の胸に顔を埋めていた。

 誰かの腕の中で目覚めることに、やはり最初はドキッとしてしまう。ただ二日目にもなると、状況の呑み込みは早かった。

 宗吾はもう起きてるかしら……ゆっくりと顔を上げてみたが、今もまだ目を閉じ寝息を立てている。昨日の寝たふりとは違い、ピクリとも動かない。

 やっぱりまーちゃんと似てるのよねぇ……二人が並んで眠っているところを見てみたくなる。親子だし瓜二つなのかしらーーそんなふうに考えて、ついにやけてしまった。

 手を伸ばしてそっと彼の頬に触れてみると、体がキュンと震える。指で唇に触れれば、キスをしたくなった。

 昨夜は確かに衝動を抑えられなかったところはある。だけどそれだけではなかった。忘れようとして隠してきた宗吾への想いが溢れてしまったのだ。

 こんなにも宗吾が好き。たとえ彼の気持ちが私になくても、残された日々は自分の気持ちに正直に過ごしたい。

 そして最後の日に全てを打ち明けよう。宗吾がどう思うのか不安しかない。だってそれを知るのが怖くて、妊娠がわかった時に逃げ出したんだから。だとしても、こんなふうに再会をして最後のチャンスをもらえた。今回はどんな結果になっても受け入れられる気がする。だって私は今は一人じゃないからーー。

 その時、宗吾が目を覚ます。腕の中の六花に気付くと、優しく笑いかけた。

「おはよう。今何時?」
「五時半かな」
「まだそんな時間……もう少し寝ていられるな」

 六花の腰のあたりを撫でながら、宗吾は再び目を閉じる。その手の動きに六花は体が疼くのを感じ、彼の首に手を回した。

「……寝ちゃうの?」

 恥ずかしそうに俯きがちに問いかけると、宗吾は閉じかけていた目を見開き、六花を見つめる。

「それは……誘ってると受け取るよ」

 宗吾の手がゆっくりと腰から浴衣の隙間へと移動し、ショーツの上をなぞりながら六花の様子を窺う。

 息遣いが少しずつ乱れ始め、鼓動も早くなる。なんてもどかしいの……六花は我慢出来ず、衝動の赴くままに宗吾に口づけた。

「……だって誘ってるもの」

 その瞬間、宗吾は六花の上に覆い被さり、貪るようにキスを繰り返す。器用に浴衣を脱がせると、下着まで取り去ってしまった。
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