夜を照らす月影のように#6
僕がそう言うと、ノワールは「……分かった」と返事をした。

僕は、ノワールを抱きしめたままどうやったらノワールの記憶が戻るのかを思案する。

「……何だか、名前を聞いただけで胸が暖かくなるな……メル、ごめん……少し、泣いてもいい?」

僕が色々と考えていると、ノワールは突然そう言った。

「うん、いいよ。今、ここに僕以外は誰もいないから……ノワールの気が済むまで泣いていいよ」

僕がノワールにそう言うと、ノワールは泣き出す。僕は、泣き出したノワールを無言で抱きしめ続けた。
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