隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「ここのところ帰宅の遅い日や外泊が続いているそうじゃないか」
「そんな、続いているって程では・・・」
「じゃあ、昨日はどこに泊まった?」
「えっと・・・」
そんなに真正面から聞かれると答えにくいな。

どうしたんだろうお兄ちゃん、まるで父さんみたいだ。

「昨日だけじゃないぞ。一昨日も遅かったそうじゃないか。周りが桃のことをどれだけ心配しているかを、ちゃんと理解しているのか?」
「・・・」
私は唇を噛み、黙り込んだ。

常日頃、どんなに暴君のように振る舞ってもちゃんと公私の区別は付けるお兄ちゃんが、今日は仕事中とは思えないくらい私に向かってくる。
きっと、それだけ心配をかけたのだろうと思うと、私は反論できなかった。

「いつまでも子供じゃないんだから、高井さんに心配をかけるんじゃない」
「・・・すみません」
ギュッと親指を握りしめ、私はなんとか返事をした。
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