隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
隼人との出会い
そもそも、私と隼人との出会いは４年前に遡る。

生まれて間もなく両親を交通事故で失った私は、遠縁である高井家の養女に出された。
いくらお金があるとはいえ、家政婦やシッターに育てられるよりは子供を欲しがっていた高井の両親に育てられた方が幸せだろうとおじいさまも考えたのだろう。
そのことに私も異論はない。
実際、高井の両親は愛情深く私のことを育ててくれた。
一条家ほどではないにしても、会社を経営する高井の父はお金の心配をすることもなく私のしたいことを何でもさせてくれたし、母も常に優しく接してくれた。
おかげで、中学を卒業するまで自分は高井家の実子だと疑ったこともなかった。
もちろん、高校生になり出生の真実を知った当初はおじいさまや亡くなった両親を恨んだし、なぜ私だけがこんな思いをしなくてはならないのかと荒れた時期もあった。
そんな時でさえ、高井の両親は常に私と向き合って何度も何度も話をしてくれた。
だからこそ大学を卒業して就職先を決めるときに、おじいさまの意向を聞き入れて一条プリンスホテルへの就職を決めた。
そして、私は隼人と出会ったのだ。
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