隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
すれ違う気持ち
優也さんが一条プリンスホテルを去って数日後。
優也さんのお家から縁談を断るとの連絡が入った。
私の方からも今はまだ結婚する気にはならないと伝えていたため、必然的に縁談は立ち消えとなった。
おじいさまと父さんは凄く不満そうにしていたけれど、本人たちにその気がないのではどうしようもないと納得してもらった。
さあこれですべてが元通りと思ったのだが、予想外だったことが1つだけ。
それは・・・

「悪いが、このまま社長室での勤務を頼む」

珍しくミーティングルームに飛び出された私は、隼人に告げられた。

「どうして?優也さんがいる間だけって約束だったでしょ」
2人きりなのがわかっていて、私もつい普段の口調に戻ってしまった。

お兄ちゃんのいる社長室で勤務することにはかなり慣れた。
いくら妹とはいえ仕事中は公私の区別をつけてくれるし、以前ほどやり難さを感じることは無くなっている。
でも、だからと言ってこのままなし崩しに決められてしまうのは納得できない。

「秘書室で勤務しようと、社長室にいようとやっている仕事に変わりはないだろ?むしろ社長室にいた方がそっちの仕事に専念できるはずだ」
「それは・・・」
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